「記者の眼」

やはりホンモノだった中国のインフレ

香港より高い逆転現象も

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2012年2月16日(木)

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 香港に出張する機会をもらった時、まず「買い物」をしようと思った。

 円高だからブランド品を……ではなく、物価の推移を確かめたかったからだ。香港から広東省・深圳までは電車で一本。物価調査なら、こちらが本丸だ。

 その結果が下の表だ。購入時期は深圳が1月17日、香港は18、20日だ。

  香港(香港ドル) 円換算 深圳(人民元) 円換算
青島ビール(レギュラー缶) 6.3 61.7 6.5 78.9
アサヒスーパードライ(ロング缶) 11.0 108.6 10.5 127.5
バドワイザー(ロング缶) 11.9 117.5 11.0 133.5
カップ麺 9.5 93.8 5.0 60.7
蒸留水 6.5 64.2 3.0 36.4
ビッグマック 16.5 162.9 15.5 188.2
ダブルチーズバーガー 14.9 147.1 13.0 157.8
フィレオフィッシュ 14.8 146.1 14.5 176.0
(注)1月17日から20日にかけ、香港と深圳のセブンイレブン、マクドナルドで購入。カップ麺は香港が「日清出前一丁」、深圳がカンシーフの「紅焼牛肉桶」。蒸留水は香港が800ミリリットル、深圳が600ミリリットル。

 寄ろうと考えていた深圳のスーパーが「拆(取り壊し、立ち退きの意味)」に遭っていたのは想定外で、品物が偏ってしまったが、雰囲気はつかめると思う。

香港より高い深圳の青島ビール

 まずはビール。中国ビールの代名詞、青島ビール(レギュラー缶)の香港での価格は6.3香港ドル(60円強)。厳密には2缶セットで12.5香港ドルだが、大ざっぱに2で割って計算した。一方、深圳では6.5人民元(80円弱)。アサヒスーパードライ、バドワイザーも深圳の方が高かった。酒税の違いなども影響している可能性はあるが、「物価逆転」は一部では既に現実になっている。

 ビッグマック指数でも同じ現象が起きている。香港のビッグマックは16.5香港ドル(約160円)、深圳は15.5元(190円弱)。ダブルチーズバーガーもそれぞれ14.9香港ドル、13元だった。カップ麺や蒸留水など香港の方が高い品物も多いが、総じて物価の差は縮小している。

 数年前。深圳から香港に向かう出国審査の行列を見ると、雑多な生活用品を抱えきれないほどに持ち込む人が多かった。今は大荷物はあまり見かけない。逆に、香港で買ったパンパースを深圳に運ぶ若夫婦が目立ったほどだ。

 個人的にはバドワイザーのロング缶が11元することに驚いた。まったくの私事で恐縮だが、2006年から2008年にかけて上海に滞在していたとき、ひそかに楽しみにしていたのが仕事を終えた後に立ち寄るマンガ喫茶だった。行きがけにコンビニでビールを何本か買い、持ち込んでチビチビ飲んでいた(経営者には申し訳ないが、従業員はOKだと言っていたので……)。月に2回ほどは通っていたので、価格は鮮明に覚えている。コンビニによって違いはあるが、バドのロング缶は8元から9元が相場。カンシーフのカップ麺も3元台だった。5年ほどで2〜3割は値上がりしている訳だ。

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張 勇祥(ちょう・ゆうしょう)

日経ビジネス記者



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