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春の季語と正岡子規の微妙な関係

東京大学の「秋入学移行」が教える「常識」の変容

2012年2月24日(金)

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 「入学」は春の季語だ。

 桜が満開の中で迎える新たな門出。それは多くの人に、晴れがましさと面映さ、それに新たな決意を思い起こさせる光景ではないだろうか。だが、近代俳句の創始者、正岡子規がそのことを知ったら、驚くかもしれない。

 1867年(慶応3年)に現在の松山市で生まれた正岡子規が東京帝国大学に入学したのは1890年(明治23年)のことだ。大学予備門で同窓だった夏目漱石が入学したのも同じ年である。しかし、2人が入学したのは桜の季節ではない。

「人材育成に関する社会的な要請に応えきれていない」

 東京大学が秋入学への全面移行の検討を始め、議論が巻き起こっている。東大は1月20日、「入学時期の在り方に関する懇談会」による中間まとめを公表した。懇談会は中間まとめの中で、「秋季入学へ全面移行し、学生・教員の流動性を高めること(中略)について、本学として積極的に検討すべきであるという考え方に至った」と全面移行を提言している。

 全面移行への大きな理由の1つがグローバル化だ。懇談会がまとめた中間まとめには「将来の入学時期の在り方について」というありふれたタイトルの下に、副題がついている。「―よりグローバルに、よりタフに―」だ。なんとなくハードボイルドな気分になるこのサブタイトルから、東大の本気度が伝わってくる。

 中間まとめでは、現在の4月入学の問題として3つのポイントが挙げられている。

 1つ目は「学事暦の国際動向との不整合」。文部科学省の調査によると、4月に学年がスタートするのは日本のほかインド、パキスタンなど215カ国のうち7カ国しかなく、学年のスタートと国の会計年度が一致しているのも17カ国しかないという。これが「学生さらには教員の国際交流を制約する要素の一つになっている」(中間まとめ)。

 2つ目は「学期と休業期間の不調和」。4月と10月を始まりとする2学期制をとる場合、4~9月の学期は間に夏休みを挟むことになり、「教育を実施する上での効率性、長期休業期間の本旨に照らして、好ましいものとは考えられない」としている。

 3つ目は「受験準備の学びと大学での学びとの乖離」。高校卒業から大学入学までの時間を設けることで、高校までの「受験競争の中で染み付いた点数至上主義の意識・価値観をリセット」することが必要と論じる。

 3つに共通するのは、大学が社会や経済界からの要請に応えられていない、という危機感だ。

 中間まとめはこう指摘する。「『グローバル人材』の育成のため、学生の『内向き志向』を是正していく必要性が指摘されるようになり、海外留学促進や語学力の強化をはじめ、大学教育に対する期待・要請は急速に高まってきている」。その一方で、「現在の日本の大学は、人材育成に関する社会的な要請に十分応えきれておらず、国際的な大学間競争に伍していく上での課題も大きい」。東大も東大生もタフでグローバルでなくては生きていけない、というわけだ。

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「春の季語と正岡子規の微妙な関係」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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