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なぜ韓国人は拡大戦略に走るのか

オオクボで見たパリパリ精神とプチコングロマリット

2012年2月28日(火)

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 日経ビジネス2月20日号の特集『オオクボの磁力 韓流の聖地から問う日本の未来』の取材で、韓国人経営者10人ほどに話を聞いた。彼らが経営する企業の規模は大きくても年商10数億円クラスだが、同じ規模の会社を率いる日本人経営者とはいくぶん様相が違う。

 特集でも触れたが、故郷を離れて裸一貫で勝負しようと決意している時点で心構えに差があるだろう。だが、むしろ成功してからの展開に一番興味を覚えた。すぐに他業種への参入に乗り出してしまうのだ。1つの業態で成功すると、すぐに関係ない(ように思える)ビジネスを始める。そのため、成功している経営者は、企業規模の割には複数の事業からなるちょっとしたコングロマリットを率いていた。取材した中には、創業から16年で旅行代理店や美容院、ホテルなど10種類近い商売を手がけている夫婦もいた。

 夫が韓国の財閥系企業を退職して創業したのは1996年のこと。韓国が国際通貨基金(IMF)に支援を要請する前年のことだ。経営者夫妻のうち、私は妻に話を聞いたのだが、「先見の明があったかな。幼い子供を2人抱えていたから、IMFの後なら躊躇したかもしれない」と振り返る。来日から1年しか経っていなかったので、夫婦はほとんど日本語を話せなかった。そんな状態で起業するのだから豪胆である。

 彼らの会社は、どんどん新しい業態を始めるから安定収益をもたらす部門があまりない。収益性よりスピードや拡大を優先したいようだ。韓国人経営者に共通する「パリパリ(早く早く)」の精神である。拙速にも映るが、環境の変化が激しい時代にはそのスピードは武器になる。ただし、東日本大震災直後にツケが回ってきた。

 昨年の3月11日、2人は店を従業員たちに任せて海外旅行を楽しんでいた。震災のニュースを知って慌てて日本のオフィスや店舗に電話をかけたが誰も出ない。韓国人の社員たちはすぐに日本を離れてしまったのだ。「創業以来、最大のピンチでした。営業が止まってしまうと、うちはたちまち運転資金がショートしてしまうから」と語る。ゴールデンウィーク前後になって従業員も顧客も戻ってきて、再び事業は成長軌道に乗ったが、一時は倒産も覚悟したという。

 それでも、コングロマリット拡大の野望は潰えていない。震災直後、同業者が新規出店を躊躇する隙に新しい店もオープンした。「この辺りのコリアンタウン化はまだまだ進むはず。横浜の中華街や海外のチャイナタウンはもっと大きい」と話す。彼女の店の多くは、韓流ブームの中心地であるオオクボ(新宿区大久保1~2丁目、百人町1~2丁目)の外れにある。ブームに対する楽観視というより、希望的観測に近いだろう。取材の最後、彼女は日本人のベンチャー経営者について「粘りがない。成功するまで続けたら失敗などしない」と口にした。

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「なぜ韓国人は拡大戦略に走るのか」の著者

上木 貴博

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者

2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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