「青山フラワーマーケット流 成長する経営」

立ち止まることは現状維持ではなく転落の始まり

チャレンジして失敗する従業員たちが会社を伸ばす

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2012年3月2日(金)

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 前回は、青山フラワーマーケットを主力事業とするパーク・コーポレーションという会社の骨格を形成している「5つの資産」を説明した。

 企業の資産は、現金・預金、売掛金、在庫、土地、建物など財務諸表に記載されるものだけでなく、従業員や顧客など財務諸表に記載されないものも含まれる。当社の場合は、財務諸表に記載される資産として(1)Finance(ファイナンス=業績)と(2)Shop(ショップ=店舗)、財務諸表に記載されない資産として(3)Spirits(スピリッツ=さまざまな想い)、(4)Partner(パートナー=仲間)、(5)Customer(カスタマー=顧客)の5つ資産がある。

 そして、「スピリッツ→パートナー→ショップ→カスタマー→ファイナンス」とサイクルを繰り返しながら、会社やそこで働いている従業員が成長して大きくなっていくというイメージを表現した逆円錐形の立体図を示した。想いが強くなれば、それを共有して一緒に実現しようとする仲間として従業員や社外の育種家、花の生産者の方々が集まり、店舗も拡充して、顧客も増える。その結果、業績も向上していくというわけだ。

 この成長のサイクルを立体的に表した図の起点であり、成長を支える土台の役目を果たすのが、スピリッツ=想いである。それはどのようなものなのか。今回は、当社の組織文化を形成してもいるさまざまな想いについて解説する。

ニューヨークのセントラルパークのような会社を作る

 まずは、パーク・コーポレーションという社名の由来にもなっている創業の想いについて語ろう。

 私は1987年に大学を卒業してすぐに渡米し、ニューヨークのパークアベニュー沿いにある会計事務所で働いた。パークアベニューは、大手企業の本社や高級ホテルが建ち並ぶ、マンハッタンの目抜き通りである。

 近くにはセントラルパークがあり、週末はよく園内でサイクリングをしたり散策をしたりした。周囲にはローラースケートをしたり、トランペットなどの楽器を演奏したり、絵を描いたりというように、それぞれのやり方で勝手気ままに時を過ごす人が集まっていた。

 ただし、1つだけ共通点があった。過ごし方はまちまちでも、みなが楽しそうな笑顔を浮かべていたのである。

 ところが、週末が明けて月曜日の朝に電車に乗ると、乗客たちは一様に楽しくなさそうな表情をしている。そうした光景を見て強く思った。「週末と変わらない楽しそうな笑顔で人生を送りたい」と。

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著者プロフィール

井上 英明(いのうえ・ひであき)

井上 英明 パーク・コーポレーション社長。1987年3月に早稲田大学政治経済学部卒業後、渡米して会計事務所に勤務。1988年に帰国し、パーク・コーポレーションを設立。89年よりフラワービジネスに参入し、93年南青山に『Aoyama Flower Market』をオープン。趣味は40歳から始めたトライアスロン。元ファーストリテイリング社長、玉塚元一氏(現ローソン副社長兼COO)ら同世代の経営者らで作る「トライアスロン・ボーイズ」を結成し、リーダーを務める。トライアスロンの普及を目指し株式会社ATHLONIAを設立、取締役就任。
(写真:陶山 勉)



このコラムについて

青山フラワーマーケット流 成長する経営

 鮮度の良い花を低価格で販売して、ギフトではなく自分用に購入してもらう──。既存の花屋の“常識”を打ち破って新たな業態を創り出した青山フラワーマーケット。その創業者である井上英明パーク・コーポレーション社長が、従業員の自発的な成長を促しながら、顧客に驚きを与え続ける独自の経営について自ら語る。

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