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わずか1年で失業率が2.6%から7.0%に急上昇

民間の過剰投資が経常赤字を招く~海外資金が離散

  • 向山 英彦

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2012年3月1日(木)

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 2011年、日本の貿易収支が31年ぶりに赤字となった。東日本大震災とタイの洪水でサプライチェーンが寸断された影響(輸出の伸び悩みとエネルギー資源の輸入拡大)と資源価格高騰による一時的なものとする見方が多い一方、近い将来、貿易収支を含む経常収支が赤字に転落するという見通しも発表されている。2011年は、所得収支の黒字が貿易赤字を上回って、経常収支の黒字を維持した。だが、今後、経常黒字が貿易赤字をカバーできなくなるというのが理由だ。交易条件の悪化と海外生産シフトの加速により貿易赤字が拡大。加えて、海外の金利低下などにより所得収支黒字が減少する、と見る。

 この議論の当否は別にして、経常赤字への転落はさまざまな問題を引き起こす可能性がある。日本はこれまで、財政赤字を国内資金(家計と企業の資金余剰)でファイナンスできたため、長期金利を低水準に保つことができた。経常赤字への転落はこの構造が徐々に崩れていくことを意味する。

 国債の消化を海外資金に依存するようになれば、リスクプレミアム要求にもとづき金利が上昇し、(1)国債価格の下落(利回りの上昇)、(2)政府利払い費の増加、(3)内需の抑制、などにつながる恐れがある。国債価格の下落は、国債を多く保有する金融機関の資産を減らすなど経営に負の影響を与えるため、金融機関はリスク対策を始めている。

 最も懸念されるのが、利払い費の増加による財政赤字の急拡大である。「財政赤字の抑制が不可能になれば、日本はIMFの管理下に置かれるかもしれない」。これが空想ではなく真面目に語られるようになったのが現在の日本である。

 このように経常赤字への転落は日本経済に多大な影響を与えかねない。しかし、マクロの事象であるため、問題の深刻さがいま一つ身近に迫ってこないのが現実である。そこで以下で、経常赤字から通貨危機にいたった韓国を取り上げる。当時の韓国と今日の日本の置かれた環境は異なるため、韓国の経験が日本にそのままあてはまるものではない。それでも、なぜ経常赤字が拡大して通貨危機にいたったのか、IMF管理下でどのような改革を迫られたのかを振り返ることは有益と考える。そして韓国との比較を通じて、日本の改革(財政再建)は決して容易ではないことを最後に指摘したい(韓国は比較的短期間で改革を成し遂げた)。

韓国では民間投資が貯蓄を大きく上回った

 1997年に通貨危機が生じる前、韓国では経常収支の赤字が続いていた。特に95年から96年にかけて、赤字額は80億ドルから230億ドルへ急増した。後述する貯蓄・投資バランスを見ると、この間に投資が貯蓄を大幅に上回った(図表1)。政府部門の貯蓄と投資はほぼ均衡していたため、民間部門において投資が貯蓄を上回ったことになる。つまり、海外からの資金流入に支えられて、民間部門が貯蓄を大幅に上回る投資を行ったことが経常赤字につながったのである。

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