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IMF管理の下、財閥、金融、労働改革を断行

改革の副作用として生じた格差と脆弱な家計

  • 向山 英彦

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2012年3月7日(水)

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財閥改革を断行

 通貨危機後、韓国はどのような改革を迫られたのであろうか。今回は、改革の過程を見ていく。

 1998年2月に誕生した金大中政権の課題は経済の立て直しであった。IMFの支援を受けながら、同政権は4つの柱からなる構造改革――企業の構造調整、金融改革、労働市場改革、公共部門改革――を実施した。改革を進めるに当たって、外資規制を大幅に緩和し、外資の力を最大限活用した。

 通貨危機にいたった要因が財閥企業の野放図による事業拡大、それを防ぐことができなかったコーポレート・ガバナンスの機能不全、脆弱な金融システムにあったのだから、これらが改革の対象になったのは当然である。経常赤字と短期対外債務の急拡大は財閥企業の過剰な借り入れに起因した。ここにメスを入れれば、問題の解決につながる。この点は今日の日本と根本的に異なる。

 改革の最初の柱である企業の構造調整は財閥改革と言ってよい。政府は当時の5大財閥(現代、サムスン、大宇、LG、SK)に対し、(1)経営の透明性確保(連結財務諸表作成の義務化など)、(2)系列企業間の相互債務保証の禁止、(3)負債比率の引き下げ、(4)コア事業の選定、(5)コーポレート・ガバナンスの改善(社外取締役選任の義務化など)の実施を求めた。

 韓国政府は、中堅財閥グループに対しては、経営不振企業の整理や債務比率の引き下げなど財務構造の改善を求めた。金融機関には、そうした企業の財務構造の改善計画の立案と実施を条件に、企業に追加融資するように命じた。

 その結果、危機前には30あると言われた大財閥の約半数が市場から消えた。5大財閥の一角をなした大宇財閥は倒産。現代グループはグループの継承をめぐる紛争もあり、現代グループ、現代自動車(後に起亜自動車を吸収)グループ、現代重工業グループの3つに分裂した。生き残った企業ではその後も継続的にリストラが行われていく。

金融機関には資本注入、企業には整理解雇を認めて改革を推進

 第2の柱である金融改革は、金融機関の整理統合(外資企業への売却を含む)と不良債権の処理が主な内容である。韓国政府はまず経営陣の退陣を迫った。その一方で、資本注入、不良債権買い取りなどに公的資金を投入した。その額は、GDPの約3割に及んだ。これにより、商業銀行(市中銀行、地方銀行など)の不良債権比率は99年の13.6%から2002年には2.4%へ低下した。

 その一方、金融機関の従業員数は97年から2001年の間に約4割減少した。金融機関と企業の構造改革により、すさまじい勢いで失業が増加した。韓国全体の失業率は97年の2.6%から98年には7.0%に急上昇した。

 企業の構造調整を後押ししたのが、整理解雇制と派遣労働制を導入した労働市場改革であった。整理解雇制は、以下の条件を満たした場合に、労働者を解雇できる制度である。(1)経営困難の程度が高く、やむを得ない、(2)整理解雇を回避する努力をする、(3)被解雇者を合理的な基準で選定する、(4)事前に労働組合と協議する。

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