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フローはフロー、ストックはストック

国際収支統計の正しい読み方1

  • 吉本 佳生

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2012年3月12日(月)

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 2011年の貿易収支が赤字になった。月単位では時々、赤字になることがあった。しかし、年単位では、第2次石油ショックの影響で赤字になった1980年以来、31年ぶりだ。2012年に入ってからも、1月の貿易収支が過去最大の赤字額になったと騒がれた。

 貿易収支は、「形のあるモノ(財、商品)」の輸出金額から輸入金額を引いたもの。赤字になった主因ははっきりしている。海外の景気悪化が輸出の伸びを抑えた。東日本大震災と原発危機が、輸出品の生産を一時的に落ち込ませるとともに、燃料輸入を膨らませた。

 日本では31年ぶりとはいえ、貿易赤字自体はそこまで騒ぐことではない。世界のすべての国の貿易収支を合計すれば、理論上は、ゼロになる。だから、貿易が黒字の国もあれば赤字の国もあるのが当然だ。震災などの特殊要因もあった。

 また、貿易収支に、サービス収支、所得収支、経常移転収支も加えた、経常収支を重視すべきだ。サービス収支は、サービスの輸出から輸入を引いたもの。所得収支は、主に、海外から受け取った金利や配当などから、海外に支払った金利や配当などを引いたもの。経常移転収支には、援助など無償の取り引きが含まれる。日本の所得収支はまだ大幅な黒字だから、経常収支は赤字化していない。なお、経常収支も、世界中では黒字の国も赤字の国もあるのが当然だ。

 それでも騒がれるのはなぜか。こんな懸念があるから……らしい。「日本の経常収支もやがて赤字化する。すると、日本国内で投資に回せる貯蓄が不足する。日本政府の財政赤字がファイナンスしにくくなる。ゆえに、日本国債が暴落するのではないか」。正直なところ、この論理は、私には支離滅裂にしか思えない。しかし、いろいろなメディアが論じている。

 せっかくの機会だから、貿易収支や経常収支と財政赤字の関係について、きちんと考えてみよう。

 ただし、国際収支統計と、貯蓄・投資バランスの統計という2つの統計データの読み方が分からないと、上記の論理について、正しい検証ができない。国際収支統計は、貿易収支や経常収支からなるデータ。貯蓄・投資バランスは、日本のマクロ経済の動向を見るものである。どちらも、足し算と引き算だけの単純な数式でデータ間の関係を論じることができる。データも容易に入手でき、意味も簡単に解釈できそうに見える。ところが、実際にはかなり面倒な統計データである(本稿を読み進めていただけば、面倒さが痛感できるはずだ)。

 最大のポイントは、両統計とも、みんなが本当に知りたいデータは集計しにくいことにある。収支の黒字・赤字を論じたいのに、どちらの統計も、すべての項目を足すとゼロになって、黒字・赤字が消える構成になっているからだ。データは入手しやすいものの、読む際の注意点が多いのである。

 以下、3回に分けて論じていく。今回は、「国際収支統計」の基礎を説明しよう。次回は、貯蓄・投資バランスを示す統計について基礎から説明し、最終回は、両者の関係を論じる。

「ホント?--経常収支が赤字化し、財政赤字を支えられなくなる」のバックナンバー

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三品 和広 神戸大学教授