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経常黒字が減少しても国債は暴落しない

デフレギャップを拡大させ、金利の低下をもたらす

  • 吉本 佳生

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2012年4月2日(月)

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 この回では、経常黒字の減少(もしくは経常赤字への転落)とデフレギャップとの関係を分析する。筆者は、経常黒字の減少は、1)デフレギャップを拡大させる、2)それに金利を低下させる圧力となる、3)従って、国債の暴落にはつながらない、と考える。以下、この論理を説明する。

国民経済計算も複式簿記の考え方に基づく

 統計データで見た貯蓄・投資バランスは、国民経済計算に基づいている。そして国民経済計算も、国際収支統計と同様に、複式簿記の考え方に基づく。どちらの統計も、すべての経済取引を実物経済面と金融面の両方(2面)から把握する。だから、基本構造を示す式は、実物経済と金融の両面で解釈できる。平たく言えば、モノ(商品あるいは財と、サービス)とお金の両面で解釈できるのである。

 具体的には、国際収支統計でも国民経済計算でも、モノが余っている時には、お金も同額が余っている。お金が不足している時には、モノも同じだけ不足している。国際収支統計がそうなっていることは、「なぜ経常赤字を見て、資本収支の黒字は見ないの?」の回で説明した式で分かる。

経常収支 + 資本収支 + 外貨準備増減 + 誤差脱漏 = 0

 国際収支統計で外貨準備の増減と誤差脱漏を無視すると、「経常収支黒字 = 資本収支赤字」の関係が成り立った。この式は「海外に出て行くモノの金額 = 海外に出て行くお金の金額」を意味する。経常収支が赤字になれば、「経常収支赤字 = 資本収支黒字」、すなわち「海外から入ってくるモノの金額 = 海外から入ってくるおカネの金額」という関係に変わる。

 貯蓄・投資バランスを示す式でも、同じことが言える。まずは、政府と海外の両部門を無視して、下図で基本構造を見てみよう。

 マクロ経済における「貯蓄」の定義は、日常生活で言う“貯蓄”とは異なる。経済活動がある期間において生産したものが、同額の所得を生む。そのうち、その期間中に消費されなかった部分が「貯蓄」である。実物経済面を見れば、「貯蓄」はそれだけモノが余ることを意味する。金融面を見れば、「貯蓄」はそれだけお金が余ることを意味する。そのお金を企業などが借りて、それでモノを買って生産設備などとして使う。これがマクロ経済における投資だ。

コメント6件コメント/レビュー

国内企業の海外進出は「民間の貯蓄減少」にならないのでしょうか?また、経常収支の赤字化もなにもデフレギャップを拡大させて金利低下とありますが、国債の金利って入札で決まるのですよね?だとすると貯蓄が減って国債を国内消化できなくなり外国に頼る状態になれば、そんな国の国債は高い金利でなければ買わないとはならないのでしょうか?金利が安くなるように貯蓄が増えるのでしょうか?誰かが安い金利で買ってくれるのでしょうか?それとも金利を日本が決められるのでしょうか?この2点が分かりませんでした。(2012/04/03)

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国内企業の海外進出は「民間の貯蓄減少」にならないのでしょうか?また、経常収支の赤字化もなにもデフレギャップを拡大させて金利低下とありますが、国債の金利って入札で決まるのですよね?だとすると貯蓄が減って国債を国内消化できなくなり外国に頼る状態になれば、そんな国の国債は高い金利でなければ買わないとはならないのでしょうか?金利が安くなるように貯蓄が増えるのでしょうか?誰かが安い金利で買ってくれるのでしょうか?それとも金利を日本が決められるのでしょうか?この2点が分かりませんでした。(2012/04/03)

「国債金利が暴騰して日本は滅亡する」論よりはまともでしたが、もう少し掘り下げて頂いた方が良かったかもしれません。理解できる人は理解できると思いますが、諸外国(特に米国やギリシャ)との比較を行なわないと、デフレギャップが何故金利押し下げの圧力になるかの説明は不十分な気がします。経常収支の赤字で死にそうなギリシャと、経常収支が真っ赤かでも平気なアメリカ・・・その中で、日本の実力と世界で果たすべき役目、そして日本がどのような方向に進むべきなのかを次回では明示をして頂きたいものです。(2012/04/02)

理論武装だけで金利が上昇しないなんて言い切るところは、いかにも学者さんの発想です。投機資金が流入しない閉ざされた金融市場ならば、氏の理論武装も成立するかもしれませんが、氏の主張は常識の裏をかくことで儲ける投機筋の存在をあえて黙殺しています。日本の金利は既にゼロ金利に程近い水準に張り付いていることから、もし投機筋が攻撃をしかけてくるとすれば金利上昇シナリオですが、彼らがかける圧力をどう跳ね返すのか。対抗手段があるのならば将来世代のためにも是非ご教授下さい。(2012/04/02)

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