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シェールガスに期待し過ぎてはいけない

持続的と考えられてはいない米国のLNG輸出

  • 大場 紀章

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2012年3月26日(月)

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 エネルギーの話題は、読者の関心のポイントや好き嫌いが実に様々で、議論のターゲットを絞るのが大変難しいです。本来は、短期の課題と長期の課題を分けて議論するべきです。しかし、例えば原発再稼働の問題をとっても、今年の再稼働の有無の判断が長期にも影響を与えると思われるため、容認派・反対派の両者にとって死活的問題となり得て、長期・短期を簡単に切り分けることができません。このように、直近のことを決めるにも、長期の話をせざるを得ません。しかし、長期 の議論が直近の事情に引きずられてしまい、本来の長期的な背景の部分がごっそり抜け落ちていることが、私の基本的な問題意識です。

 今回は、最近少なからず目にすることのある、シェールガス(頁岩=シェールの中に残留した天然ガス)について取り上げたいと思います。

 「シェールガスのお陰で米国ではガスがとても安く、それを日本に輸入できればいいのではないか」といった話題に何となく期待している方、またはその構想に一抹の不安を抱いている方に向けて、私の見方を紹介します。シェールガスのことを全く聞いたことがない方は、大変申し訳ないですが日経ビジネスオンラインに優れた関連記事が多数ありますので、そちらを参考にしてください。

 シェールガスをテーマにするといっても、採掘時の環境問題や開発企業の経営上の問題、将来的な生産量、中国やポーランドなど米国以外での生産の広がりなど議論しなければならないことは山ほどあり、そこにご興味を持つ方もいらっしゃると思います。しかし、今回はすべてをすっ飛ばして、米国のシェールガスを日本が輸入するとことの意味に的を絞ります。

日本の7分の1、米国の天然ガスの安さは魅力

 現在、日本が輸入している天然ガス(LNG:液化天然ガス)の価格と、米国内での天然ガス価格ではおよそ7倍の開きがあります(図1)。であれば、米国からその安いガスを輸入できれば、原発が止まってLNG購入価格の高騰にあえぐ日本にとっての救世主になるのではないか、と淡い期待を抱きたくもなりますが、事態はそう単純ではありません。

図1:2004年からの天然ガス価格の推移
日本エネルギー経済研究所、国際通貨基金、米エネルギー省エネルギー情報局の統計より

 現在、米国政府に認可されているLNG輸出プロジェクトは8つあり、計画輸出量の総量は年間約1億トンと、米国のガス消費量の2割に匹敵します。そのうち、非FTA締約国に対する輸出認可が下りているのは今のところ1件(Sabine Pass)のみです(図2)。Sabine Passのプロジェクトは、英国、スペイン、インド、韓国(3月にFTA発効)などの国々に向け年間1600万トンが販売されることが決まっています。

コメント3件コメント/レビュー

アメリカ国内でもエネルギー政策は変化している。シェールガスはその最たる部分で、今後が決まっているわけではない。刻々の資源状況で戦略を変えてゆくのは、原子力推進派が生み出した言葉「ベストミックス」そのものである。シェールガスが急伸し、量・価格で大きな役割を予想される現況の中で、この筆者はシェールガスに期待しすぎてはいけないと、当たり前のことをおっしゃる。しかし論調は、シェールガスに頼るのは間違いと言いたらしい。そのうち原子力を推進しなくてはならないと言い出すための伏線のようだ。原子力への批判は皆無、他のエネルギーを順に否定するのは、原子力を肯定する為。一つ一つの論旨が偏っており、だから貴方の結論を早く言えと言いたくなる。(2012/03/28)

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アメリカ国内でもエネルギー政策は変化している。シェールガスはその最たる部分で、今後が決まっているわけではない。刻々の資源状況で戦略を変えてゆくのは、原子力推進派が生み出した言葉「ベストミックス」そのものである。シェールガスが急伸し、量・価格で大きな役割を予想される現況の中で、この筆者はシェールガスに期待しすぎてはいけないと、当たり前のことをおっしゃる。しかし論調は、シェールガスに頼るのは間違いと言いたらしい。そのうち原子力を推進しなくてはならないと言い出すための伏線のようだ。原子力への批判は皆無、他のエネルギーを順に否定するのは、原子力を肯定する為。一つ一つの論旨が偏っており、だから貴方の結論を早く言えと言いたくなる。(2012/03/28)

議論を米国に限定するのは,勇断であり,論点が明確化するので有益だ。周辺状況の重要さ,厳しさ,関係性の複雑さを熟知した筆者の思いが最後の「エネルギーはお金さえあれば買えるものではないのですから。」という言葉に込められている気がする。しかし,ここでは筆者はあえて経済的側面から米国からのガス輸入のリスクの大きさを指摘した。納得できる。が,やはり,「エネルギー供給源分散戦略」を国家戦略の根幹におくべきだと考えるので,米国からの輸入のカードは捨てるべきではない。ご指摘のように,「米国依存」が許されるような甘い状況でないことを承知の上で。したがって,エネルギー供給源を([いつ入手可能なエネルギーかという意味で]時間的にも空間的にも)他にさらに求め続ける必要がある。「コスト(エネルギー価格的な意味で)」だけでは議論すべきではないことも深くと同意する。(2012/03/26)

・そもそも世界初のLNG輸出は1970年にアラスカから横浜に向けて行われており、日本はアメリカからのLNG輸入実績がある。・今回のアメリカの対日LNG輸出の政治的見返りはイランからの原油全面禁輸。逆に日本はLNG輸出認可をイランからの原油輸入削減の前提条件としている可能性もある。(2012/03/26)

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