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歴史にヒントあり?未曾有の長期デフレ脱出法

19世紀末の英国「没落の始まり」の轍を踏まないために

2012年3月27日(火)

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 日本経済がデフレに悩まされて、およそ15年。これほどの長さは経験がないとあって、有効な処方箋を見いだせていない。実は今から100年以上も前、もっと長いデフレを経験した国があった。英国だ。その歴史にヒントを探る。

 デフレとは「一般物価が持続的に下落する現象」とされる。政府のデフレ認定の条件はいくつかあるが、主に総合消費者物価指数(CPI)のうち食品やエネルギーを除いた「コアコアCPI」が6カ月連続で、前年同月に比べて下落した場合が1つの目安だ。このコアコアCPIは1998年に前年同月比でマイナス圏に陥った。その後、プラス圏に浮上する場面は数えるほどしかなく、足元まで下落基調が続いたままだ。

 この間の経済情勢については、日経ビジネス3月26日号の特集「さらばデフレ消耗戦~『安ければいい』が国を滅ぼす」をご覧いただきたいが、いずれにせよ、日本人がこの不況続きの中で失ったものは計り知れない。

 過去の日本でもデフレ期は何度かあった。1880年代の「松方(正義)デフレ」、1920年代から1930年代にかけての「井上(準之助)デフレ」、1940年代から1950年代にかけての「ドッジデフレ」が教科書的に大きなデフレと位置づけられ、「日本3大デフレ」とも呼ばれている。

過去の主なデフレ期比較
現在の「平成デフレ」 19世紀末の英国 日本3大デフレ
松方デフレ 井上デフレ ドッジデフレ
時期
(デフレ期の長さ)
1998年頃~現在
(約15年)
1870年代~1890年代
(約四半世紀)
1880年代
(数年)
1920年代~1930年代
(数年)
1940年代~1950年代
(数年)
原因 自然発生的デフレ 自然発生的デフレ インフレ抑制策の行き過ぎ
(政策デフレ)
財政緊縮(世界恐慌重なる)
(政策デフレ)
インフレ抑制策の行き過ぎ
(政策デフレ)
解消の主なきっかけ 円高是正??
資源高??
植民地民族自決
資源価格の高騰
国際銀価格の急落 金本位制の停止 朝鮮戦争特需と円安策

今のデフレは自然発生的

 松方デフレは、西南戦争の戦費調達のために不換紙幣を乱発したことで深刻化したインフレを抑えようと、松方正義大蔵卿がとったデフレ政策に起因する。歳出の抑制や増税による緊縮財政に動いた。

 井上デフレも緊縮財政を採用したほか、関東大震災やニューヨーク株暴落を引き金とする世界大恐慌が重なって不況を招いた。

 ドッジデフレは太平洋戦争後、当時のデトロイト銀行のジョセフ・ドッジ頭取がGHQの財政顧問として来日し、インフレを抑えるために導入した「ドッジライン」政策が不況につながった。

 これら3大デフレは、いずれも「インフレ抑制のためのデフレ化策を発端とする『政策デフレ』」(浅井良夫・成城大学経済学部教授)という共通項がある。しかし、今の日本のデフレは、バブル経済時に特にインフレ圧力が強まったわけではなく、デフレ政策をとったわけでもない。1990年代後半の巨額の不良債権処理問題を背景に金融システム不安が強まったうえ、海外要因ではアジア通貨危機なども重なり、「自然発生的デフレ」と言えるわけだ。

 このように自然発生的で、しかも長期間に渡ってデフレに悩まされた事例は近代日本では見当たらない。類似例は海外にあった。19世紀末の英国だ。

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「歴史にヒントあり?未曾有の長期デフレ脱出法」の著者

松村 伸二

松村 伸二(まつむら・しんじ)

前日経ビジネス副編集長

日刊紙の日本経済新聞、リアルタイム速報の日経QUICKニュース(NQN)、テレビの日経CNBC、週刊誌の「日経ビジネス」と、日経グループの様々な媒体を渡り歩き、マーケット記事を中心に情報発信を続ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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