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中国工場長、人件費上昇を嘆く

「手間賃仕事はもう限界です…」

2012年4月3日(火)

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 寧波(ニンポー)という都市がある。上海から車を飛ばして大体3時間ほどの距離だ。杭州をぐるっと回る新幹線に乗っても、かかる時間は同じくらいだ。

 日本ではそれほど知名度はないが、人口は800万人を超える。大きなコンテナ港もあり、「華東」と呼ばれる中国東部を代表する大都市の1つといえる。今回は、その寧波にある、ある縫製工場の工場長の述懐をテーマにしたい。

 「ウチの賃上げは毎年じゃなくて、最低賃金の引き上げに合わせて改定するんです。平均賃金ですか?出来高の部分もあるけれど、大体2000元(約2万6000円)から2200元(2万9000円弱)くらいかな。昨年の見直しで15%ほど引き上げました。キツイですよ、あと1回賃上げがあったらどうなるか…。手間賃仕事はもう限界ですよね、中国は」

 補足すると、この工場は日中合弁で、操業開始は2000年代の半ば。工場長が日本から赴任してきたのは5年ほど前で、そのときの平均賃金は「1600元くらい」だったという。5年で3、4割ほどの上昇となる。消費者物価や、その中の食品の値上がりと概ね同じ水準ともいえる。縫製は中国でも付加価値の高くない産業になりつつあるので、待遇改善も先陣を切るという訳にはいかないのだろう。

裁断、縫製、検品。加工賃は18ドル

 その縫製工場は主に日本の親会社や欧米の外部顧客からの委託を受け、男性用のスーツを仕立てている。生地も、スーツの図面もすべて送られてくるので、工場が請け負うのはその先の作業だ。図面どおりに生地を裁断し、縫い合わせる。ボタンを縫い付け、ステッチを施す。アイロンなどの仕上げを経て、検品。間違いがなければ、寧波の港から出荷する。工場が受け取るのは一着あたり17、18ドルの加工賃だ。

 この工場には昨年、訪問したことがある。先ほど述べた各工程が整然と並び、従業員は黙々と働いていた。

 24時間操業ではない。たまに残業はあっても、朝に始まり夕には終わる。従業員は600人ほどで、年間に27万着のスーツを生産する。従業員は寮に住み、食事は多くの場合、社員食堂で済ませる。頑張れば1年で1万元(13万円)から1万数千元は手元に残るだろうか。従業員の在職年数は平均すれば2、3年ほどという。

 つまり、おそらくはこういうことだ。農村や内陸部の小さな町から出稼ぎに来て、まずは何年か働く。故郷に帰って不自由ない暮らしができるほどは貯まらないが、職歴があるだけ、もう少し給料が高い仕事も見つかりやすい。ツテをたどるなりして良い条件の仕事を見つけ、移っていく。中国における労働集約型工場の典型例だ。

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「中国工場長、人件費上昇を嘆く」の著者

張 勇祥

張 勇祥(ちょう・ゆうしょう)

日経ビジネス記者

2012年から日経ビジネスの記者。転々と部署を異動してきた器用貧乏。それでも、何とか中国経済はモノにしたいと願う中年記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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