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「輸送」と「通信」の技術革新がビジネスを変える

標準化からカスタマイゼーションへ

  • サンジーブ・サンヤル

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2012年4月6日(金)

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サンジーブ・サンヤル氏はドイツ銀行のグローバルストラテジスト。
都市経済学の専門家であり、環境経営の草分け。環境経営について英国政府と米国政府にアドバイスしている。
2010年にはダボス会議において「若きグローバル・リーダー」の称号を得た。
英オクスフォード大学で客員研究員、インド政府の長期都市戦略を委員会のメンバーを歴任。
英ガーディアン誌や中国の人民日報にコラムを寄稿している。著書に「インドのルネサンス:1000年待ったインドの台頭」

 これまでの20年間は「ハイパーマーケット」の時代だった。ハイパーマーケットとは、驚くほどたくさんの数の標準製品をこれでもかと取り揃え、顧客を圧倒する超大型小売店のことだ。だがここにきて、ハイパーマーケット時代の終焉を示す兆しが見え始めている。米ウォルマート、英テスコ、仏カルフールといった世界のハイパーマーケットがこの数カ月の間に発表した決算内容は、いずれも期待を下回るものだった。こうした決算結果は、一般的に見れば「景気循環を反映している」だけだ。しかし、もしかすると、もっと根源的な変化を示す初めての兆候かもしれない。

 世界経済の歴史は、輸送手段と通信手段の競争と見ることができる。輸送手段に革新が起これば、サプライチェーンはさらに多くの商品を扱えるようになる。従って「商品の標準化」を後押しする。一方、通信手段における革新は、デザインや品質、数量、運送時間などをより具体的に指定できるようにする。その結果、カスタマイズを促進する。いつの時代でも、その時代を支配する経済モデルは「輸送」「通信」という2つの技術の進歩競争から生まれる。

 輸送技術が未発達だった古い時代には、品物の大半は現地で生産された。消費者と生産者は互いの顔を見て意思を疎通できたため、熟練工が製作する品はほとんどが顧客向けにカスタマイズしたものだった。村ごとに鍛冶屋、織工、陶工、靴職人がいた時代である。

 18世紀になると、世界的サプライチェーンが構築できるほどに輸送技術が発達した。綿産業は、初期の段階でこの変遷を経験した1例だ。奴隷として連れてこられたアフリカ人が米国南部で綿花を栽培。その綿花はイギリスの加工工場へと運ばれた。そして完成した織物は全世界へと輸出された。この変化がインドの織物工や紡績工にもたらした影響は計り知れない。マハトマ・ガンジーが植民地支配への抗議のシンボルとして手回し式の糸車を使ったのは、決して偶然のことではない。

 20世紀初めまでに輸送技術は躍進を遂げた――鉄道、スエズ運河、パナマ運河、自動車、そして初期の飛行機。例えば海上貨物輸送費は、1840年から1910年までに7割低下した。交通の発達に伴う通信の改善もあったが(汽船や鉄道による郵便物の配送など)、通信に独自の革新は、電報を除いて、ほとんど見られなかった。

輸送手段の大きな進歩が「標準化」を推し進めた

 輸送手段が発達した状態(これに対して通信手段が未発達の状態)において、生産は主要な交通拠点に集中した。ヘンリー・フォード――米国の自動車メーカー創設者――が世界に先駆けて導入した生産ラインの類似型を使い、商品を大量に生産した。生産の様々な段階におけるコミュニケーションギャップを最小化するため、垂直統合型の産業構造が構築された。大量生産が支配的な形態となるにつれ、個々の消費者が自分の好みに合わせて商品をカスタマイズすることはもはや不可能となった。

 この変化を要約したフォードの言葉はあまりにも有名だ。「車は顧客の好きな色に塗っていい。それが黒である限り」。小売業は、カスタマイズすることを放棄して、夥しい数の標準化された商品を展示できる大型百貨店へと変化していった。

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長