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電機再生、大物アナリストの私案

経営者は技術を見抜く目を

  • 阿部 貴浩

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2012年4月27日(金)

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 4月中旬、東京・港区の地下鉄の駅前。8年ぶりに会った山本高稔氏は、以前よりすっきりと痩せて見えた。同氏は、野村総合研究所を振り出しに、何社もの外資系証券会社を渡り歩き、30年近くにわたり電機セクターを代表するアナリストだった人物だ。

 2003年にアナリストとしては一線を退いたが、その後もカシオ計算機の常務を務めるなど、今でも電機業界のご意見番的な存在。この日、夜の予定までの空いた時間に、久しぶりにお茶でも飲もうということになった。

 コーヒーを一口飲むと、「また大変なことになっているみたいだね」と口火を切った。ソニー、パナソニック、シャープという日本を代表する家電3社は2012年3月期にそろって巨額の最終赤字を計上する。原因は同じ、薄型テレビ事業の採算悪化だ。需要と供給のバランスが崩れ、価格下落に歯止めが掛からなくなった。ご意見番としては、忸怩たる思いで眺めていたのだろう。

ソニーは2012年3月期に過去最大となる5200億円の最終赤字を見込んでいる

 かつて画面サイズで1インチ当たり1万円が基準とされたが、最近では家電量販店の店頭を覗くと、1インチ当たり1000円前後で売られている。ここまで急激に値段が下がれば、工場や設備の償却費や人件費を賄うことは、誰がやっても困難だろう。

テレビ増産、「失敗見えていた」

 筆者がこう話すと、「いや、明らかな経営判断のミスだ」と山本氏は応じた。

 液晶、プラズマディスプレー、そして太陽電池。これらに集中投資してシェアを握るというパナソニックやシャープの戦略は、当初は間違ってはいなかった。しかし、競争激化による価格下落はデジタル製品の宿命。自動車や機械装置など、生産工程での摺り合わせが必要なアナログ製品と違い、デジタル製品は部品を購入し設計図どおりに組み立てれば出来上がる。

 もちろん画質や使い勝手、デザインなどで優劣は付くが、参入障壁そのものは低い。事実、薄型テレビで世界トップの韓国サムスン電子を筆頭に、アジア勢がシェアを急拡大して日本メーカーの前に立ちはだかっている。米国でもビジオなど工場を持たないファブレスメーカーが、コスト競争力を武器にシェアを伸ばした。

 この荒波の中で、日本勢は存在感を失っている。2011年は円高や東日本大震災などの不運が重なったとはいえ、そもそも自前主義での高コスト体質では、戦えない産業になっていた。

 だから、「パナソニックやシャープがやったパネルの増産投資は失敗するのが見えていた。販売市場と競争環境を見て、増産ではなく引く決断をすべきだった」というのが山本氏の見立てだ。

 しかし、テレビ事業は各社とも経営資源の多くを投入する主力事業。その事業を縮小するとすれば、どこに生きる道を求めればいいのか。

 こうした問いかけには「どこも兆円単位の売り上げ規模のある企業。社内を探せば新たなメシの種は眠っているよ」。それをいかに探して収益を稼ぐ事業へと成長させるか、それが経営者に求められている役割だ、と山本氏は言いたげだった。

 それから2時間近く色々な話題で話し込むと、健康のためだといって山本氏は街並みの中に歩いて消えて行った。

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