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ロシアの手ごわさをリアルに理解できない日本人

国後、択捉の帰属を本気で交渉しようとしたことは一度もない

  • 袴田 茂樹

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2012年5月2日(水)

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 プーチンが3月1日、北方領土問題に関して発言した。この内容が日本で誤解された最大の理由として、日露関係における深刻な問題、つまり、日本の政治家もマスコミ人も、また国際問題の専門家も、ロシア指導部や政界の雰囲気をリアルに理解していないということを指摘してきた。本稿では、今のロシアの雰囲気を読者に伝えるため、私のロシア訪問についてさらに報告したい(前回はこちら)。

 続いて、誤解のもう一つの理由――メドベージェフ大統領やプーチン首相に対する日本人の先入観――についても触れたい。そして次回は、今後6年あるいは12年続く新たなプーチン政権の特徴とその行方について、ロシアの専門家や政治家との意見交流を踏まえて、私見を述べる。

 筆者は4月3日、モスクワの国際大学で「ロシア情勢と日露関係・日本からの視点」と題して講演した。教師、学生が聴衆だ。私は、プーチンが大統領に復帰しても、その政権の安定性は疑わしいと述べて、その理由を説明した。この点については、次回で述べる。

 講演の中で、日露それぞれの国民が相手国に対して持っているイメージについて触れた。日本に対するロシア国民の印象は一般に良好である。これに対して、残念ながら、日本人の7割以上がロシアについてネガティブなイメージを有している。その大きな理由として、北方領土問題の存在を指摘した。

「北方4島が露領だと国連も認めている」は欺瞞

 今回の講演で強調したのは、次の点である。最近ロシアでは、プーチン首相もメドベージェフ大統領も、「北方4島(南クリル)がロシア領だということは、国際法や国連も認めている。これは第2次世界大戦の結果である」と述べている。ちなみにプーチンが最初にこのような強硬発言をしたのは2005年であった。

 私は、この論の論理的矛盾を明確にした――もしそれが事実であるなら、ロシア側は日本と領土交渉を続けてきた自らの過去の行動をすべて否定することになる。

 1993年の東京宣言では、4島の帰属問題を決定して平和条約を締結すると両国は合意した。これは「4島の帰属先=4島の主権」が未定だということを前提としている。1998年のモスクワ宣言では、「国境線画定委員会」を両国は設立した。つまり、国境が確定していないということを両国は認めている。

 2002年3月には、イゴリ・イワノフ前外相がロシア下院で、日露間には国際法で認められた国境が存在しないと明言した。プーチン自身も、これまで幾度も、領土問題を解決して平和条約を締結することの必要性に言及している。

 これらはすべて、4島が「第2次大戦の結果ロシア領と決まった、国際法でも承認済み」という論と矛盾する。

 この私の論に対しては、反論はなかった。理論的に考えて、反論は不可能である。私は、北方領土問題についてのロシア側の主張が、矛盾に充ち不誠実だということを、ロシアの人たちに認識してもらいたかった。この意図は通じたと思う。

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