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東電はいくら稼ぐの?

最終利益予想が1000億円減った理由

  • 馬場 燃(日経ビジネス記者)

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2012年5月15日(火)

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 あれ、1000億円以上減っている――。

 5月9日にやっと認定を受けた東京電力の新たな経営像を示す「総合特別事業計画」。福島第1原子力発電所の事故を起こした東電と原子力損害賠償支援機構がA4用紙約250ページにわたり、財務基盤の強化策や経営合理化の道筋を盛り込んだ。最終章には参考資料として今後10年の収支見通しも載せている。総資産、有利子負債、キャッシュフロー…。主な計数が並ぶなかで、1つの数字が目を引いた。当期純利益だ。

 10年後、2022年3月期の純利益は1111億円の黒字とある。ただ、約4ヶ月前に機構が密かにはじいた数字は2342億円だった。なぜ、こんなに減少したのだろうか。

事業計画作成は迷走

 「東電は変革なくして信頼回復なし。総合特別事業計画は、その発射台になる」。5月9日夜。枝野幸男経産相による計画の認定を受け、東電の次期会長を務める下河辺和彦氏は都内で開いた記者会見でこう強調した。本来は3月末に決めるはずだったが、大幅に後ずれした事業計画。外部から招こうとした民間経営者が東電の会長職を嫌がり誰も受けず、電気料金引き上げへの世論の反発や拙速な原発再稼働を巡る議論も計画作成の遅れに大きく響いた。手元にあるA3用紙5枚の内部資料がその迷走ぶりを物語る。

 原子力損害賠償支援機構は1月中旬から東電の取引先金融機関に対し、事業計画作成のたたき台となる経営の前提条件を水面下で示し始めた。金融機関の理解を得られなければ、約1兆円の追加融資支援が難しくなり、東電が債務超過に陥る恐れがでてくる。このため東電という会社の将来像をいち早く説明する必要があったわけだ。

 「えっ、こんなに細かいの」。入手した内部資料を一目みると、こんな感想を思わず抱いた。何しろA3用紙いっぱいに今後10年の様々な数字を記している。5月9日に認定を受けた総合事業計画の収支見通しは、総資産や当期純利益、営業費用など30項目強に過ぎない。一方で、原子力損害賠償支援機構が最初に作成したA3用紙5枚には300を超える項目の詳細な数字が並んでいる。最終的な公表資料の10倍分にあたる。総資産などの主要項目以外に、例えば「電気事業固定資産」という項目をつぶさに精査すると、「水力発電設備」「原子力発電設備」「送電設備」「新エネルギー等発電設備」についても資産規模の見込みを100万円単位で10年分示している。

 ある細々とした前提条件の数字をおかなければ、新生東電の全体像がはっきりみえてこないのはよくわかる。しかし1月中旬といえば、電気料金の引き上げや原発再稼働の議論が全く煮詰まっていない段階。そうした中で「ここまでの数字をよく作るな」と驚き、さらに2020年3月期からは3期連続で2000億円を越える最終利益を稼ぐという計画に目が点になった。

 2000億円超の利益は、国内ではいわば「ピカピカ」の会社といえる。2012年3月期でいえば、トヨタ自動車の水準に相当する規模だ。東電は原発事故を起こし、賠償や除染、廃炉にかかる費用が見通せない。それなのに世論の声をよそに、電気料金引き上げ、原発再稼働を前提条件に置き、「ピカピカ」の会社に戻そうとしている――。少なからず違和感を覚えた。

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