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家電業界は「進化」の先の「未来」を見よ

林光さんと語る日本の製造業の未来を創るマーケティング【1】

2012年5月15日(火)

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橘川:林光さんとは、光さんの父上の林雄二郎さんに紹介されて出会ったのですが、1980年代の半ばぐらいですね。博報堂の生活総合研究所に在職中で、博報堂に行った時に、たまにお会いしました。仕事としては、10年ほど前にNTTドコモのマーケティング・アドバイザリーボードの仕切りを光さんがやっていらして、僕もメンバーとして1年半ぐらい一緒にやりましたね。

:橘川くんとは1対1で会うというより、パネルディスカッションなどでよく会いましたね。いつも当たり前ではない、ありきたりではない、でも、夢物語でもない意見を聞かせてくれて、毎回、とってもいい刺激がもらえました。

橘川:今日は、混迷する日本の一般消費者向け製造業について、お話をさせていただきます。特に家電業界がひどくて、ソニーは2012年3月期決算が4566億円(米国会計基準)の赤字。パナソニックが7721億円、シャープが3760億円の赤字と、過去最大規模の赤字となった。

 家電と自動車は、戦後社会を牽引してきた企業であるだけに、この赤字は、日本の根幹にかかわる危機だと思います。特にここ数年は、エコ家電ポイント制度という、国家財政を家電メーカーに投資するような支援政策をしていたにも関わらず、このありさま。家電産業の根本的な意味を問い直すところから建て直さないと、不沈戦艦も潰れかねない。

林 光(はやし・ひかる)氏
知識創造工房ナレッジ・ファクトリー代表。慶応義塾大学文学部卒業、1972年博報堂入社、81年博報堂生活総合研究所発足に伴い同研究所に出向、主席研究員。2004年から所長。07年より独立。埼玉大学教養学部、明海大学経済学部、東京大学社会情報研究所、慶応大学文学部、群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部などで非常勤講師を歴任。近著に『「減の時代の新・マーケティング戦略』がある。

:確かにこのところの日本経済は、バブル崩壊からリーマンショック、そして大震災など激動に次ぐ激動で、景気がいいとマクロ経済界がいっていても、そんな実感がないばかりか、実体経済の動向が本当のところがどうなのか、判然としないまま21世紀が10年たってしまったという感じですね。

橘川:近代以後、日本は先進国の技術や制度をキャッチアップしながら拡大してきたのですが、すでに豊かな社会は実現して、諸外国に学ぶものも少なくなった。本当は、ここからが日本の独自の方法論やアイデンティティを確立する勝負の時にはなのに、なんだか、企業の人に新しい状況に挑戦する活力が見受けられないですね。判断停止になったまま、いたずらに時間が過ぎているような。そうした日本の現状の中で、これからの企業は何をテーマにすべきかを語っていきたいと思います。

市場をどうしたら動かせるかを考える手法

橘川:僕は1970年に学生だった頃、ある書評新聞の投稿欄に投稿した原稿を読んで連絡をいただいた、子ども調査研究所の高山英男さんと出会ったことによって、マーケティングの世界と触れることになりました。

 子ども調査研究所は、戦後社会で、子ども若者対象の、ほとんどすべてのメーカーとかかわってきたのではないか。そこで、アンケート調査を集めたり、グループインタビューに立ちあってテープ起こしをしたり、自分も調査対象者としてヒアリングされたり、マーケティング調査の実際に触れました。

:80年代には、僕も高山さんのところに何度もお邪魔して、「子供に対する調査」の難しさ、コツなどをお聞きしたものでした。

編集部 今、「マーケティング」の話題が盛んですが、どこでも「ツイッターの使い方、フェイスブックの活用法」など、SNSマーケティングの話が多いですね。

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「家電業界は「進化」の先の「未来」を見よ」の著者

橘川 幸夫

橘川 幸夫(きつかわ・ゆきお)

デジタルメディア研究所代表

1972年、音楽雑誌「ロッキングオン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後も、さまざまな参加型メディア開発を行う。現在、阿佐ケ谷アニメストリート商店会会長、未来学会理事などを勤める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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