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「豊か」でも「清い」社会には何が必要か

林光さんと語る日本の製造業の未来を創るマーケティング【3】

2012年5月17日(木)

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橘川:80年代までは、広告代理店やマーケティング調査会社がメーカーと二人三脚で商品開発をしてきた。それがバブル崩壊に伴うリストラの嵐で、企業での内製化が進み、変わって入ってきたのが、外資系を中心として業務コンサルティングで、彼らは、無駄の排除と、集中と選択を金科玉条とした。日本の企業の柔らかさは、無駄を抱えて多様な包容力があったことだと思うのですが。

林 光(はやし・ひかる)氏
知識創造工房ナレッジ・ファクトリー代表。慶応義塾大学文学部卒業、1972年博報堂入社、81年博報堂生活総合研究所発足に伴い同研究所に出向、主席研究員。2004年から所長。07年より独立。埼玉大学教養学部、明海大学経済学部、東京大学社会情報研究所、慶応大学文学部、群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部などで非常勤講師を歴任。近著に『「減の時代の新・マーケティング戦略』がある。

:そもそも「別腹」作りですから、「無駄」な時間を「有意」な時間にしてはいけないわけですから、どれだけ「無駄」を経験してきたがが問われるわけですよ。無駄な部分が全然ない機械、つまり「遊び」がない機械はすぐに摩擦で壊れます。でも適度な遊びがゆとりを生み、本当の機能を発揮してくれるんです。そこを西洋流の「合理」「効率」で進めたら、人間も疲弊しちゃうし、面白い商品だって作れないわけで。

橘川:今のメーカーを見てると、なんだか、働いてないですね(笑)。働いてるふりがうまくなって、無駄な会議や残業はやってますが、本来やるべき仕事をしているのかどうか。メーカーでは、上司から部品を減らせとか消費電力をここまで下げろという課題を与えられて、部下は必死にその課題に取り組むことがだけが仕事だと思っている。そういう指示しか与えられない上司に問題があるのですが、そこには自分の企業の都合だけしかなくて、ユーザーとの関係性を追求する姿勢はありません。自閉していると思います。

 戦後は、貧しい社会だったから、経営者も労働者も、みんな豊かになろうとハングリー精神で市場を探り、企業を拡大してきた。しかし、その目的が達成した瞬間から、企業組織が新たな目的を見いだせていないような気がします。組織だけは強固になったから、すぐには崩壊しないが、目的を見失った組織は、ゆっくり自滅していきますよ。

:無駄な「無駄」が多すぎるんだな(笑)。

橘川:組織が成熟すると、外部の敵が見えなくなって、内ゲバが起こるんです。例えば、冷蔵庫の上に電子レンジを乗せている家庭って多いですよね。だとしたら、電子レンジ付き冷蔵庫を出せばよい。だけど、それができないんです。電子レンジ事業部と冷蔵庫事業部は社内でライバルですから、そういうものを出したら、どちらの売り上げになるのか分からなくなる。社長が、そんな不合理な内部組織を叱責すれば済むことなんですが、それをしない。なぜなら、今の社長はそうした社内の権力闘争を勝ち抜いてきた人だからだと思います。官公庁の縦割り行政の弊害が問題になっていますが、大企業の事業部も似たような構造に陥ってるのではないでしょうか。

続々と大ヒット商品を出していたかつてのシャープ

:シャープが1985年に「生活ソフトセンター」という生活価値観を研究するシンクタンクを設立して(現在はオンリーワン商品企画推進センター)、しばらくして「ここから発表される方向はすべて実現しろ」という号令がかかり、「目の付け所がシャープ」な商品が続々と登場し脚光を浴びた。今の空気清浄機のプラズマクラスターや冷蔵庫のホット庫(温かいものを温かいまま保存するスペース)なんかは、この延長線上の商品の方向だと思う。

橘川:シャープというのは面白い会社で、ある事業部で大ヒットを出すと、その担当者が部署を変えられるという話です。同じ部署にいて、その担当者が次にまた大ヒットを出す確率よりも、その担当者が別の部署に行って大ヒットを出す確率の方が高いと(笑)。日本の企業って、それぞれ企業風土というか企業文化というか、バラエティーがありましたね。

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「「豊か」でも「清い」社会には何が必要か」の著者

橘川 幸夫

橘川 幸夫(きつかわ・ゆきお)

デジタルメディア研究所代表

1972年、音楽雑誌「ロッキングオン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後も、さまざまな参加型メディア開発を行う。現在、阿佐ケ谷アニメストリート商店会会長、未来学会理事などを勤める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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