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風力に立ちはだかる「既設はダメ」の壁

「人材退場」という新制度の落とし穴

2012年5月30日(水)

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 4月下旬、都内のある居酒屋に妙齢の男性たちが集まった。

 「ようやく再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が動き出しそうだね。日本にも再エネバブルがやって来るかもしれない」

 「でも人が足りませんよ。風車のメンテナンスをできる人間は少ししかいない。一体、どうするんでしょう」

 風力発電のメンテナンスに話題が及ぶと、和やかな宴席の雰囲気が、一気に重苦しくなった。

 この日、集まったのは、風力発電事業者や風車メーカーの技術者、大学関係者など、風力の専門家たち。ある風力発電事業者幹部は、「国内で風力発電にまつわる技術を持っている人材は多く見積もって2000人程度。なかでも、メンテナンスができる人材の不足は深刻だ」と明かす。いくら制度が動き出して風車の建設ラッシュが起きても、トラブルで発電量が確保できなければ日本の再エネ導入策が成功したことにはならない。

 風車の建設は、まず、建設予定地でどれぐらい風が吹くかを調べる「風況調査」から始まる。風況は季節によって変動するため、1年間かけて風の状況を確認する。そのうえで、どれだけの発電能力を持った風車を建てれば経済性が合うのか、事業採算性を計算する。採算が合う地点であることが確認できたら環境アセスメント。アセスには約2年を要する。ここまできたら、ようやくシステムの詳細な設計、施工となる。さらに、電力網との接続(系統連系)にまつわる手続きがこれに加わる。

回転するものは、いつか壊れる

 技術的に難しくなってくるのは、ここから先だ。風車は巨大な回転体。長さが約50メートルのブレード(羽根)、ブレードが付いている軸、増速機、発電機が連動して回転する。回ると摩擦が起き、熱が発生するため、回転体はメンテナンスなしでは動き続けることができない。ましてや風車は、風さえ吹けば24時間365日回り続ける。同じ回転体である自動車に比べても、風車の運転環境ははるかに過酷だ。

 機械が回転している以上、いつか必ず壊れる。風車もメンテナンスを怠れば、トラブルを起こして止まってしまう。また、いざ止まってしまった後に、技術ノウハウがなければ、トラブル箇所を特定することすらできない。いざ風車を建設しても、メンテナンス技術がなければ、風車は想定通りに発電できない。世界では、「風力発電事業はメンテナンスビジネス」とまで言われている。

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「風力に立ちはだかる「既設はダメ」の壁」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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