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日立、発祥の地で生き続ける競争力

原発の不振、祖業が補う

  • 阿部 貴浩

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2012年6月13日(水)

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 建屋の中を見上げると、古びたコンクリートの壁を木の補強材が支える。1910年の創業当時から残る建屋だ。その下では、100年前と変わらずに産業用のモーターを組み立てている。

 日立事業所(茨城県日立市)は日立製作所の発祥の地だ。事業所を構成している5つの工場のうち、この山手工場が最初の量産工場になる。創業当初の建屋は、建て増しを重ねて大きく広がった。そして、昔にも増して繁忙を極める。

 黒く塗られたモーターは鉄道車両に使うもの。鉄道車両は国内外から受注が相次いでおり、つい先日までは、中国・北京市の地下鉄車両用の生産が間に合わないほどだった。隣では風力発電用の巨大な発電機を急ピッチで組み立てる。国内や米国向けに安定した出荷が続く。

 山手工場では電動ダンプ用のモーターを生産しているが、こちらも供給が間に合わないほどだ。日立建機の大型ダンプトラックは鉱山開発用に欠かせない車両で、新興国を中心に需要が急拡大している。

 「とんでもない数のモーターを作っている」と、山手工場の管理者は嬉しい悲鳴を上げる。

日立が初めて作ったモーター

 日立が初めて作った製品は、5馬力のモーターだ。祖業であるモーターは、品質と信頼性で今も高い競争力を維持する。再生可能エネルギーや鉄道、資源開発という、産業界の注目を集める分野で、モーター市場は今も成長を続ける。

 「産業用モーターや発電機は、この事業所で最も忙しい」と長澤克己・日立事業所長は話す。

韓国から火力発電を相次ぎ受注

 好調なのは、ここだけではない。

 海岸工場で生産が佳境に差し掛かっているのは、発電出力100万キロワット級の蒸気タービンだ。巨大な回転体に取り付けた無数のブレード(羽)を、作業員が手作業で慎重に調整していく。取り付け角度を一定にしなければ、高速回転したときに不具合が起きかねない。

 蒸気タービンは火力発電所で使われる装置で、ボイラーから発生した蒸気を受け止めて回転し電力を生む。発電所の心臓と言える部材だ。

巨大な蒸気タービンは手作業で調整する

 同社では、韓国からの火力発電所の発注が増えている。韓国も機器のトラブルなどで昨年から原子力発電所の稼動停止が相次いでいる。夏場の需要期へ向けて日本以上に電力不足が深刻だ。火力発電で代替しているが、高まる発電施設需要の受け皿となっているのが、日立など日本の企業だという。

 韓国にも発電所を建設できる重電メーカーはある。実際、原子力発電所では日本企業と国際入札で競合し、苦杯を飲まされたこともある。

 しかし、100万キロワット級など大型のタービンになると、生産するのに専用の設備が必要。「韓国では生産が難しいため、日本に注文が来る」(海岸工場の生産管理者)ことになる。日立は今年2月にも、韓国で大規模な石炭火力発電の設備を2基受注した。受注額は600億円に上る。

 近くでは小型のガスタービン発電機を組み立てている。こちらの納入先はインドだ。ガスタービン発電機は、火力発電などに比べて設置が容易で、小規模かつ迅速な電源確保に適する。

 国内でも昨年、福島の原発事故で電力不足に陥った際、電力会社向けに納入した。新興国で電力需要が高まる中、日立は火力やガスタービンの受注を確実に取り込んでいる。

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