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「決め方」が決まらない

焦眉の急は「納得解」を得るルール作り

2012年6月14日(木)

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 過日、ある勉強会に顔を出した。リクルートのフェローから東京・杉並区立和田中学校の校長に転じ、大胆な教育改革に取り組んだことで知られる藤原和博氏の講演がお目当てだった。

 この日のテーマは「『坂の上の坂』を登るには」。司馬遼太郎さんの名作「坂の上の雲」が描かれた時代に比べ、圧倒的に延びた人生をどう生きていくべきか、一人ひとりに意識改革を促す内容だ。

 誰もが同じような生き方を目指し、正解が1つだった20世紀型社会と異なり、成熟社会の今は、みんなで幸せになる成功モデルは終わった。前例踏襲や事なかれ主義は通じない。一人一人が「納得解」を作り上げていくしかない――。こんな論旨が胸にすとんと落ち、後日、さっそく旧知の民主党議員に講演内容を紹介したところ、この議員がため息交じりにこぼした。

 「個人の考え方や生き方が多様化するのはもちろん、好ましい。だけど、その分、合意形成を図り、物事を決めていくのが本当に難しい時代になったよ…」

「合意形成ルール」が崩壊した政治

 消費増税、TPP(環太平洋経済連携協定)参加、1票の格差是正…。直面する重要課題にいつまでも結論が出せない政治は今や、物事を決められない代名詞のような有様だ。

 その原因としてよく「強すぎる」参院問題、首相のリーダーシップ不足などが挙げられるが、それだけではあるまい。多様化した見解をどのように収斂させていくかという「決め方」がはっきりしていないことも大きいのではないだろうか。

 「昔は、自民党内さえまとめれば事が済んだ。後は、“国対政治”そのもので、野党に少々花を持たせれば良かった。それが今の民主党政権では、党内が割れたまま、政権交代が近いかもしれない野党に対峙しないといけない。これは大変だよ」。ある自民党のベテラン議員はこう指摘する。

 散々批判された自民党政治だが、こと、物事を決めるという点では、長年政権を担当した党としての知恵があった。政務調査会の各部会で議論を積み上げ、最後は総務会で原則、全会一致を取り繕う。やっかいな税制に関しては「インナー」と呼ばれたベテラン議員が責任を持って判断し、基本的に、以下多数の議員はそれに従った。

 「与党としてのうまみを維持する、その一点で結束していた」と、このベテラン議員は述懐する。良くも悪くも、与党としての暗黙のルールが、そこにはあった。

 翻って、今の与党・民主党はどうだろう。政調機能を復活し、形の上では党内の政策決定手続きが整備されている。しかし、党として機関決定したはずの消費増税関連法案に小沢一郎・元代表らは「党内議論は不十分だった」と公然と異議を唱える。

 野田佳彦首相の主導で進む関西電力大飯原子力発電所の再稼働を巡っても、党内には反対論が渦巻く。TPP参加問題でも党内の見解は真っ二つのままだ。実質的に、この党の意思決定システムは不十分か、機能していないとみるべきだろう。

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「「決め方」が決まらない」の著者

安藤 毅

安藤 毅(あんどう・たけし)

日経ビジネス編集委員

日本経済新聞社で経済部、政治部などを経て2010年4月から日経ビジネス記者。2012年4月から現職。政治、経済政策を中心に執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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