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夏の電力不足を契機に電力改革が加速

小売り全面自由化へ

2012年6月15日(金)

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 当初、関西電力は、停止中の大飯原発3、4号機を稼働しても夏の電力需要ピークに耐えられず、安定供給は難しい、と説明していた。しかし、5月4日に開かれた大阪府市エネルギー戦略会議では、大飯原発の2基が再稼働すれば、かなりの需給ギャップが解消され、節電と他の電力会社からの融通も加味すれば、需要を賄えるとの予測を示した。

高まる電力不足の懸念から大飯原発の再稼働へ

 我が国は、原発とどのように向き合っていくべきか。この問題について、震災による原発事故の当事者である東京電力はもちろんだが、いま新たに世論の前に引きずり出され、矢面に立たされているのが、関西電力である。電力需要が高まる夏に向けた対策を検討する中で、供給不足に懸念を示す関西電力の答弁に対して、非難の声が上がっている。

 このように、答弁の度に変わる見積もり数値のぶれに対し、原発再稼働を目論む関西電力の思惑があるのではないかとの憶測が広がるのは無理もない。わたしの周辺でも、「関西電力は以前、夏の電力需要ピーク時に供給が足りなくなると騒いでいたのに、今度は足りると言っている。あの答弁は嘘だったのか」と、不信感をあらわにする人はいる。

 関西電力管内の過去10年間における総発電量のうち、原発が占める比率は、平均で約5割にも及ぶ。関西電力はこれまで、原発の比率を上げることで、他社よりも効率性を高め、ピーク時にも安定供給できる環境を構築してきた。その裏返しで、原発が欠落すると、ピーク対応が非常に困難となる。全原発が停止した今となっては、関電管内は電力不足が最も懸念されるエリアになってしまった。

 そんな関西電力は、大飯原発3、4号機の再稼働に向けて、ストレステストを着々と進めてきた。地元の承諾と、政府の決断を待つばかりの状態である。立地である福井県おおい町の町議会は5月14日、再稼働の了承を議決し、町長に報告した。ただし、町長の最終判断は、すぐには下されなかった。わたしの個人的な見解としては、大飯原発3、4号機は現状では安全基準を十分に満たしており、再稼働に支障はないとみている。

 一方、周辺自治体では、再稼働に否定的な意見が少なくない。関西電力の筆頭株主でもある大阪市の橋下徹市長は、大飯原発の再稼働に慎重論を唱え、けん制する。府とともにまとめた「原子力発電の安全性に関する提案」8項目を政府に示すなどしている。

 ただし、橋下市長の言い分をよく聞くと、実は早期に原発をゼロにすべきであるとする「脱原発」を明言していない。橋下市長の主張は、むしろ再稼働するプロセスを改めて明確にすべき、という指摘である。実際のところ、脱原発の方向性は、大阪市特別顧問など周辺の人物が演じているに過ぎない。

 5月末になり事態は急転した。大飯原発周辺自治体として、関西広域連合の府県知事らが、30日の細野豪志原発事故担当相との会合後に、「限定的」としながらも、再稼働を事実上、容認するととれる内容の声明を発表。これを受けて野田佳彦首相は、「原子力発電所に関する四大臣会合」を開き、立地自治体の判断を得た上で、最終的には自身の判断で再稼働を決めることを宣言した。ちなみに翌31日には橋下市長も、電力不足を考慮した「事実上の容認」という立場を表明している。

 そして6月8日の夜、野田首相が会見を開き、「国民の生活を守るために大飯発電所3、4号機を再起動すべき」との判断を明言した。これを受け、再稼働に向けた動きは、いよいよ最終局面を迎えている。

 わたしも、この会見をじっくり聞いた。野田首相は、これまでの総合資源エネルギー調査会基本問題委員会での議論を複眼的に勘案した上で、中長期的にどうするかは今後の課題としながらも、原子力は今後も重要な電源である旨を明確にし、再稼働という短期的な課題には軸足のぶれない政治決断をされた。その事は評価したい。

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「夏の電力不足を契機に電力改革が加速」の著者

柏木 孝夫

柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)

東京工業大学特命教授

経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会の分科会長、同調査会基本政策分科会の委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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