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原発という「もの」から安全という「コト」へ技術転換を

【第3回】ソフトを重視し高度な安全保護システムの構築を

  • 木村 英紀

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2012年6月15日(金)

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【第1回】「システム思考」の欠如が招いた原発事故から読む)
【第2回】不確かな情報の下で原発事故に対処するための最適な意思決定モデルから読む)

 第1回第2回では、プラントに対する事故対応に絞ってシステム思考の欠如と必要性について述べた。本稿(最終稿)では発電所を出て、現代技術全体の文脈で日本の原発技術を俯瞰して見たい。

 筆者は3年前に近著『ものつくり敗戦』で、現代技術がその軸足を
(1)ハードからソフトへ
(2)「もの」から「コト」へ
(3)要素からシステムへ
急速に移行させつつあること、その転換に追いついていないことが日本の技術の停滞を生む一つの大きな要因であることを述べた。今回の原発事故ではこのことがあらためて明らかになったと私は考えている。日本の科学技術の弱点を原発事故が直撃したのである。以下順を追って述べる。

ソフトウエアの軽視~SPEEDI問題

 原子力分野ではソフトウエアが発達していると聞いている。原子力の研究では実験に強い制約があるので、実験に代わる手段として計算機シミュレーションに頼らざるを得ないのであろう。ただしそれが本当の意味で日常的な安全管理と事故対応に生かされているかどうかについては第2回で疑問符を付けた。この問題点がシャープにあらわれたのが、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の活用の問題である。SPEEDIが使われなかった経緯はほぼ明らかにされている。その経緯は、危機に面した事故対応の場で日本の技術の負の体質がさらけ出された結果と私には思えてならない。

 シビアアクシデントの発生に際して住民を安全かつ迅速に避難させることは政府や自治体のもっとも重要な責務である。ここでもシステム思考が重要になることは言うまでもない。まず必要なことは、放射能の汚染状況を知りその地域的な広がりを予測することである。その役割を担うのがSPEEDIである。SPEEDIはスリーマイル島の原発事故を契機に原子力研究所(当時)が開発を始め、その後のレベルアップを経て現在では国内のすべての原発を結ぶネットワークとして整備されている。チェルノブイリ事故をきっかけに世界版(WSPEEDI)も開発され、1997年に完成している。

 事故直後からインターネットでは海外の研究組織による計算結果が出回っていた。中にはハワイや米西海岸を直撃するなどのいい加減な「予測」も出回っていたので、政府の公式見解が待ち望まれていた。それがようやく発表されたのは事故後10日以上たってからであった。

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