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第3回 「いらないもの作り」で大成功してしまう罠

2012年6月15日(金)

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 前回から少々間が空いてしまったが、今回からしばらくは「顧客開発モデル」についての理解を深める話から始めよう。

 顧客開発モデルとは一言でいえば、「スタートアップの最大の失敗原因である顧客不在というリスクを軽減するためのプロセス」のことだ。顧客開発は英語ではCustomer Development。Product Development(製品開発になぞらえた言葉で、顧客不在リスクを克服するために製品の研究開発と平行した別プロセスとして、「顧客」の研究開発もやろうという考えである。しかし大企業で既存事業のルーチンに従事しているなど、新規事業を立ち上げたことがない人にとっては何のことかわかりにくい話だ。

 スタートアップとは何なのか。スタートアップとは「ゼロから事業を立ち上げる」企業や組織のことだ。今までない新しい製品やサービスに関するアイデアを持っている人(こういう人を起業家とかアントレプレナーと呼んでいる)が、新たにヒト・モノ・カネといった経営資源を用意し、新しい会社や組織を作って、その製品やサービスを一から開発し、販売して収益をあげようとスタートラインに立った状態である。スタートアップは夢や希望に満ち溢れていてとても楽しいものだ。

 自分の考えたアイデアが人の役に立ち、人を楽しく幸せにし、世界を席巻する。成功すれば、経済的にも潤い、皆からも尊敬される。大企業の中で歯車の一つとなって必ずしも本気でやりたいと思っていない仕事に追われ、思ったことも言えずやきもきし、フラストレーションをためていたりすると、やりたいことを自由にやってお金の稼げるスタートアップは魅力的に見える。

 しかし、スタートアップにはアイデアと気持ち以外には何もない。売り物もなければ顧客もいない「ないものづくし」だ。収入がないので赤字続き。スタートアップのリスクはとても大きい。FacebookやGoogleのような成功物語の裏では無数のスタートアップが泡と消えていく。「千三つ」とはよく言ったもので、ベンチャー投資を本業としている私たちから見ても納得感がある。

失敗の原因、要は「お客が買ってくれませんでした」

 リスクで一杯のスタートアップにとっても文句なしに最も大きいリスクはお金を払ってくれるお客がなく、結果リソースが尽きて行き詰まってしまうことにつきる。にもかかわらず「買ってくれる顧客がいなくて失敗しました」という反省を起業家から聞くことは滅多になくて、「時代を先取りし過ぎてお客がついてこなかった」「営業力がなかった」「認知度があがらなかった」「ベンチャーだから信用力がない」「お客が大企業で動きが遅く時間がかかりすぎた」うんぬんと言い訳が多い。言葉は違えどこれはすべて「お客が買ってくれませんでした」と同義である。

 イメージがわかない人のために、自らの経験からこの典型的な失敗パターンの具体例をしめそう。私は若手のころ(1990年代前半)、当時イノベーション真っ盛りであったコンピュータ通信機器の事業立ち上げが仕事だった。今は大企業のCisco Systemsがまだベンチャーだった頃のことだ。

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「第3回 「いらないもの作り」で大成功してしまう罠」の著者

瀬川 明秀

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ビジネスアソシエなどを経て、日経ビジネスオンライン開設後はオンライン編集がメインの業務。2012年からは日経BPビジョナリー経営研究所の研究員を兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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