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リストラは企業にとって本当に“得”なのか

高齢者を大切にする会社に見る日本再生のヒント

2012年6月20日(水)

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 今週号の日経ビジネス(6月18日号)は「早期退職の経済学」と題した特集で、サラリーマン個人が定年を前に会社を辞め、転職や起業、アーリーリタイア(早期引退)する場合の「損・得」勘定について検証を試みた。

 辞めて良かったかどうかの感じ方は、個々人の価値観や感覚によるところが大きいだろう。しかしながら、長引くデフレ不況下では、転職しても収入が増えるのは、まれなケース。金銭的な面に限れば、損をすることが多いようだ。

 では、業績回復や財務体質強化の手段として、「希望退職者の募集」と銘打った事実上の退職勧奨を進める日本企業。人員削減のリストラ策は、会社にとって本当に得なのか、逆にデメリットはないのだろうか。

 雇用・賃金アナリストの鍋田周一氏による本誌での試算によると、50歳の社員が早期退職した場合、定年(60歳)まで勤め上げる場合の生涯年収(約2億7400万円、2010年時点)のうち、8800万円分をもらい損ねることになる。企業側から見れば、単純に考えると、1人のミドルを辞めさせた後の10年間で8800万円の直接人件費を節約できることになる。福利厚生費などの間接人件費を考慮すれば、1人につき1億円超が浮く計算だ。

 「だが、その効果は一時的なもの。コスト削減だけを目的とした人的リストラは、長期的に様々な弊害を会社にもたらす」。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストはこう指摘する。

人員削減が企業にもたらす3つの弊害

 会社にとって、人員削減の断行が逆にデメリットとなるであろうポイントは主に3つある。まず、周りの社員のやる気が低下しかねないことだ。その時点でリストラを免れて「今は会社に認められている」と感じても、いつ景気情勢が急変したり、会社の事業方針が変わったりするかわからない。「次に辞めさせられるのは自分ではないか」との疑心暗鬼を多くの社員が抱き続ければ、大抵の職場で効率が悪化してしまう。

 そうした閉塞感が社内に蔓延することで、それまで職場で中核的な存在だった有能な社員ほど会社に長く居続けようとは思わなくなる。そして優秀な人材の流出が止まらなくなってしまう恐れがある。これが2つ目だ。

 さらに大きな広がりを見せかねないのが3つ目の弊害だ。リストラが相次げば所得が不安定な人が増え、世の中で個人消費がますます低迷することになる。家計の収入が減れば、ほぼ連動して支出も減少傾向をたどることはデータからもわかる。総務省の家計調査によると、1世帯当たりの1カ月平均の実収入は、2000年の56万2754円から2011年には51万117円と11年で9%減少。それに伴い、実支出も43万239円から39万8442円まで7.4%減った。マクロ経済的視点から見れば、過剰な人員削減は、その企業にとって、巡り巡って自分の首を絞める行為と言えるわけだ。

 このように、リストラによる業績改善、体質強化は一時的なもので、実は長い目で見れば企業の寿命を縮めかねない――。産業界の中には、そうした人員削減のリスクに気づき、若い世代だけでなく中高年や高齢者までも大切に活用することで、事業の拡大を図ろうとする会社が実在する。

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「リストラは企業にとって本当に“得”なのか」の著者

松村 伸二

松村 伸二(まつむら・しんじ)

前日経ビジネス副編集長

日刊紙の日本経済新聞、リアルタイム速報の日経QUICKニュース(NQN)、テレビの日経CNBC、週刊誌の「日経ビジネス」と、日経グループの様々な媒体を渡り歩き、マーケット記事を中心に情報発信を続ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長