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縮原発がビジネスチャンスをもたらす

ネガワット取引など新しい仕組みを活用

2012年6月29日(金)

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 政府は6月16日、大飯原発3、4号機の再稼働を正式に決定した。その一方で、我が国は、原発を縮小させる「縮原発」の方向で動き出している。経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会が5月28日に取りまとめたエネルギーミックス(電源構成)の選択肢から、原発比率の最も大きかった「原発35%」案が外されたことが、それを如実に表している。

国の研究開発予算も原発からシフト

 原発35%案の除外によって必然的に、原発に関する国の研究開発予算も削られることになる。原子力行政にとっては、非常に大きなインパクトである。

 わたしは、内閣府の「グリーンイノベーション戦略協議会」の座長を拝命している。この協議会は、国の科学技術関連の戦略や予算・人材の配分などを審議する総合科学技術会議(議長:野田佳彦首相)がこの3月に設置した「科学技術イノベーション戦略協議会」の3つの具体的な協議会の1つで、ほかの2つとは、「復興・再生戦略協議会」「ライフイノベーション戦略協議会」である。

 原発の予算分を何に配分していくかについては今後、複眼的な視点での検討を要するが、再生可能エネルギー関連などグリーンイノベーションへのシフトが進む可能性は高いものと考えられる。

 イノベーションは、新しい知識や技術革新がけん引する社会経済システムの構造改革などと定義されることが多い。しかし本来の意味は、その構造改革によって、新しい価値を生むことにこそある。改革のその先の価値創出を実現してこそ、本当のイノベーションと言えるのである。

 日本において規制により最も守られている分野といえば、農業、医療、エネルギーの3つが挙げられる。これらの分野で規制改革を進めることができれば、多くの新しいビジネスを生むイノベーションが実現できるものと考えられる。例えば、スマートコミュニティの中に、自然エネルギーや排熱を利用する植物工場を併設したり、医療施設と連携したライフサポートサービスを提供したりと、農業や医療と融合したシステムを創出することで、新しい価値をもたらすビジネスが、いくつも生まれる可能性がある。

 こうした3分野を融合させた新ビジネスの創成には、まずは暮らしに密着したエネルギー分野から、その規制改革に取り組むことが得策だろう。つまり今、進められようとしている電力システム改革は、新たなビジネスチャンスをもたらす極めて大きなポテンシャルを秘めているのである。

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「縮原発がビジネスチャンスをもたらす」の著者

柏木 孝夫

柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)

東京工業大学特命教授

経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会の分科会長、同調査会基本政策分科会の委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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