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軽減税率は「民意のバイアス」が生じる典型例

国会の参考人質疑の中で考えたこと(下)

2012年7月4日(水)

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 前回に続いて、6月8日の衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会に参考人として出席した時の模様を紹介したい。

民意のバイアスをめぐる議論

 参考人の意見陳述が終わった後、各政党の代表が参考人に一人15分ずつ質問をした。

 なお、余談だが、通常の国会における質疑では、事前通告制度があり、質問者は事前に(普通は前日)質問内容を政府に知らせることになっている。テレビで予算委員会の質疑を見ていると、質問を受けた閣僚が答弁のメモを参照しながら(時には棒読みして)答弁するのを見る。「どうして事前に答えがメモになって準備されているのだろう?」と疑問に思う人がいるだろうが、これは事前通告によって、質問内容が分かっているからである。さらに余談だが、この質問への答えを準備するということが、役人の深夜残業の大きな原因となっているのだ。

 しかし、参考人質疑の場合は、議員の質問内容を事前に教えてくれないので、参考人はぶっつけ本番で質問に答えなければならない(ということが今回参考人になってみて分かった)。これは結構スリリングである。

 さて、質問者のトップバッターは民主党の勝又恒一郎議員だったのだが、勝又議員は私にやや意外な質問をぶつけてきた。

 勝又議員は「小峰先生は、本来の政治主導というのは、民意をそのままくむのではなくて、むしろ民意のバイアス、偏りを修正して、長期的に政策を誤らせないようにすることが大事だと指摘されています。そういう観点から、今の国会における社会保障と税の一体改革をどのように見ておられるか、感想をお伺いしたい」と私に質問したのだ。

 これに対して私は概略次のように答えた。
 「しばしば世論調査で人々の考えを聞き、民意に従うべきだという議論が出ます。しかし、民意には民意のバイアスというものがあると思います。それは、『短期的な視点で物事を判断してしまう』ことや『自分の身の回りのことを中心に物事を判断してしまう』というバイアスです。

 しかし、短期的なマイナスを避けようとして、長期的にかえって大きなマイナスを抱え込むということはよくあります。また、身の回りのマイナスを避けようとして、回り回ってかえって大きなマイナスが身に及んでくるということもよくあることです。

 こうした民意のバイアスを避ける仕組みが『間接民主主義』だと私は思います。従って、国会議員の方々は、自らの判断で長期的に国民のためになる政策を考えていただき、もしそれが民意に反するものである場合は、(民意に従って自らの考えを修正するのではなく)民意の方を説得していただきたいと思います」

 私がこう発言した時、議員席からは「いいこと言うなあ」というつぶやきが聞こえ、発言を終えると拍手が起きた。そして勝又議員も「我々も、今、指針となるべきお話をいただいたように思います」と言って、この質問を終えたのだった。

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「軽減税率は「民意のバイアス」が生じる典型例」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官