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使用済み核燃料の処理を民間任せにはできない

鈴木達治郎・原子力委員会委員長代理に聞く【後編】

  • 山岡 淳一郎

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2012年8月8日(水)

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 「原子力発電の存廃は核燃料サイクル政策にかかっている」といっても過言ではない。

 原発を維持すれば、毒性の高い放射性廃棄物を含む使用済み核燃料が溜まり続ける。日本は、長年、使用済み核燃料も資源とみなして再処理し、プルトニウムとウランを回収してリサイクルする核燃料サイクル政策を採ってきた。

 だが、リサイクルの前提である高速増殖炉(FBR)の研究開発は、原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故以来、実用化の見通しが立たない。政府は再処理でつくったMOX燃料を一般軽水炉で燃やす「プルサーマル」路線に変更したが、要の六ヶ所村再処理工場は事故や故障の連続で完成せず。建設費は膨らみつづける。工場が竣工しても処理能力に限界があり、使用済み燃料は溜まり続ける。使用済み燃料を再処理しようが、直接処分しようが、いずれにしても放射性廃棄物の「最終処分」が必要だが、その場所や方法は決まっておらず、安全、コストの両面でリスクが高まるばかりだ。

 さりとて、再処理を中止すれば、「最終処分地にしない」ことを条件に再処理施設を受け入れてきた青森県は、預かっている使用済み燃料の「引き取り」を求めると宣告しており、使用済み燃料が行き場を失い、さ迷う怖れもある。もちろん原発は稼動できない。

 複雑に糸が絡み合うなかで、原子力委員会は、エネルギー・環境会議が示した「三つのシナリオ」に対応した「核燃料サイクル政策の選択肢について」を決定した。2030年時点で原発比率0%の選択肢では「全量直接処分」、15%、20~25%の選択肢では「直接処分との併存」としつつも、六ヶ所再処理事業を本格操業に向けて計画通りに進めることが適切としている。

 再処理路線は、はたして維持できるのか。その先にどのような具体的難題が浮上し、いかなる体制変革を求められるのか。鈴木氏にスレートに質問をぶつけた。

「商業化からは撤退、研究開発は継続」が現実

山岡:「もんじゅ」に象徴される高速増殖炉(FBR)の研究開発ですが、半世紀以上前から、ウラン資源の再利用効率が高い「夢の原子炉」といわれ、核燃料サイクル政策の切り札とされてきましたが、実用化の見通しが立っていません。鈴木さんご自身は「もんじゅ」路線のFBRが30年、40年先に実現するとお考えでしょうか。

鈴木達治郎・原子力委員会委員長代理(撮影:大槻純一 以下同)

鈴木:「もんじゅ」自体は1980年代の設計なので、原型炉をそのまま大きくして実証炉、商業炉になるとは、開発している方々も思っていらっしゃらない。私もそう思います。だけどFBRを実現するために長期間にわたって研究開発を蓄積し、成果を出すということであれば、いまある「もんじゅ」をある程度使うことは、不合理ではない。だから、「もんじゅ」をやめることがFBRをやめることではないし、「もんじゅ」を使うことが未来永劫、FBRを続けることでもない。「もんじゅ」の是非とFBRの是非は必ずしも一致しないと思います。

コメント6件コメント/レビュー

国家の原子力政策が、国民の関心から隠れて いつの間にかこんな形に進んでいることは間違っている。 東電の民間企業にあるまじき考え方の問題もそこにかかっている。 この際、マスコミは社会的報道の役割を認識して、すべてをあからさまにしてほしい。暗黙の了解は騙しである。 原子力平和利用は原爆保持の防衛上の意義と深く結びついていること、それを隠して自民党は進めてきたことを理解し、この国の貿易戦略上如何に扱うか、国民的議論を始めるべきである。(2012/08/08)

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いただいたコメント

国家の原子力政策が、国民の関心から隠れて いつの間にかこんな形に進んでいることは間違っている。 東電の民間企業にあるまじき考え方の問題もそこにかかっている。 この際、マスコミは社会的報道の役割を認識して、すべてをあからさまにしてほしい。暗黙の了解は騙しである。 原子力平和利用は原爆保持の防衛上の意義と深く結びついていること、それを隠して自民党は進めてきたことを理解し、この国の貿易戦略上如何に扱うか、国民的議論を始めるべきである。(2012/08/08)

そもそも、こんな次元の議論が原発稼働から何十年も経った今になっても続いている事自体が異常なことだ。こんなに時間を使っても放射性廃棄物の処理が出来ないのに、更に原発を稼働させてこれ以上廃棄物を増やせると誰が思うのか。誰かが手を上げれば済むという話ではない。根本的に無理なものに目をつぶり、結論を何十年も先送りにしたことがこういう事態を招いたのだ。こういう状況をつくりだした関係者の罪は重い。(2012/08/08)

言い訳ばかりで、技術的側面はごまかしているのではないか。若くて優秀な技術者を参画させるには、原子力推進ではなく、国土回復という問題意識のほうが、モチベーションは高まるだろう。 「もんじゅ」と「高速増殖炉」は別問題というが、事故続きの「もんじゅ」は、中止の道筋を検討すべきだ。「高速増殖炉」も他の原発を動かすための「お飾り」である。いつまでも面子の問題で莫大な予算投入は認められない。不毛の巨額予算だ。組織自体の中で真摯な議論は行われているのだろうか。(2012/08/08)

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