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誰があなたのオムツを替えますか?

ブラジル人の介護から考える

2012年8月6日(月)

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 作家の水村美苗氏は今年上梓した小説『母の遺産』で親の介護を題材にした。「ママ、いつになったら死んでくれるの?」と文中で嘆く主人公が印象的だ。介護は大きな社会問題になりつつあるが、あなたは老後にオムツを替えてくれる人が今から思い当たりますか?

 水村氏の「母の遺産」では、主人公の美津紀が年老いた母の介護にあたる。姉がいるものの、母の面倒をほぼ一手に押し付けられ、介護に追われるうちに夫が若い愛人をつくる。結局、「介護疲れ」で心身ともにボロボロになり、母が死んだ後、夫と離婚する。悲しい話だ。自身の体験を交えて書いたとされている。

 母と娘が近くに住んでいるため、小説では介護を可能にしている。しかし、現実には親子が離れて暮らしている家庭が日本では少なくない。介護は成長産業と目されているが、過酷な労働条件と安月給が嫌われ、すでに必要な労働力を確保できない状況にある。要介護認定者は足元で500万人を越えており、これから100万人規模で介護士が必要といわれている。誰が急増する高齢者のオムツを替えたり、入浴を手伝ったりするのだろうか。

介護職員の1割が在日ブラジル人

 興味深い介護現場が、三重県の四日市市にある。社会福祉法人の青山里会では、働いている介護職員のうち、1割に相当する約60人が在日ブラジル人なのだ。

 四日市では、「笹川団地」と呼ばれる地域にたくさんの在日ブラジル人が住んでいる。日本のバブル期以降にブラジルから来た人が多く、県内の自動車や食品工場などで出稼ぎとして働いていた。好景気の時には残業代も弾んだ。ひと月に40万円を超える給料が出た時期もあった。

 だが、それは過去の話。2008年のリーマンショックを機に世界が一変し、こうした在日ブラジル人は真っ先に「派遣切り」の憂き目にあった。

 同じ時期に、青山里会は深刻な人手不足に悩んでいた。経済連携協定(EPA)で来日したインドネシア人を採用しようとも考えたが、一から日本語を教える必要などがある。では、在住資格もある近くのブラジル人を雇うのはどうかと試みたところ、新しい仕事を求めていたニーズとちょうど合致し、口コミも手伝って介護現場で働く人が一気に増えた。

 当初はラテン系の気質で知られるブラジル人と日本人職員の衝突も絶えなかったという。ブラジル人は高齢者に明るく接することができる一方、勤務時間が終わると直ぐに帰宅してしまうなど、労働観の違いから対立が度々起きた。

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「誰があなたのオムツを替えますか?」の著者

馬場 燃

馬場 燃(ばば・もゆる)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社の経済部などを経て、2012年4月から日経ビジネス記者。電機・IT業界を担当している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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