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100の暴動を見た男が語る中国、アジア

成長を阻む「ごね得」民主主義

2012年8月8日(水)

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 昔語りに、お付き合いを。

 2008年1月のこと。

 上海でデモが起きるとの噂が駆け巡った。理由はリニアモーターカーの延伸計画。浦東国際空港から市東部の「竜陽路」まで開通しているが、それを市西側に位置する虹橋空港まで30キロメートルほど延伸する計画が持ち上がっていた。最終的には浙江省の杭州を結ぶ壮大なプランだった。

 ただ、リニアの走行で発生する電磁波による健康被害を懸念する声が広がっていたほか、2006年にドイツで起きた死亡事故の記憶も生々しかった。上海で走るリニアは同じドイツ製だ。市政府が提示した安全対策に納得できない市民が、続々と市中心の人民広場に集まったという構図だ。

 2005年の反日デモ以来の規模になるとの観測を聞きつけて、当然、様子を見に行くことにする。目立たないようジーパン、ジャンパー姿。財布には現金1000元(約1万2000円)だけを入れた。タスキがけにしたメッセンジャーバッグの、一番奥のポケットに記者証をしまう。人民広場を見渡せる商業ビルに上り、上司と交代しながら覗いていた。

 デモ隊の列が動き始めたのは夕方前。ビルを出て、デモの列に付かず離れず歩いていった。人数が予想外に多く、ほどなく列に巻き込まれ上司とは別行動に。目抜き通りの「南京路」を東に進んでいった。参加者は「リニア反対、家を守れ」と繰り返し叫び、同じ内容を英文にしたプラカードを掲げていた。

 皆のテンションは高かったが、激高している程でもない。参加者に二言三言、話しかけたり、携帯電話のカメラで写真を撮っていたりするうちに、取材は唐突に終わった。交通整理というか、治安維持に当たっていた警察官に列から離れるよう誘導され、最後は少し肩を押されてデパートの出入り口に追いやられた。「まあ、バレバレか」とは思ったし、その警察官に視線を合わせると無言、無表情ながら「そろそろ潮時だろ」といったニュアンスを感じた。時刻は、確か午後7時ごろ。上司に報告し、東京のデスクに連絡するにも都合のいい時間帯だった。

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「100の暴動を見た男が語る中国、アジア」の著者

張 勇祥

張 勇祥(ちょう・ゆうしょう)

日経ビジネス記者

2012年から日経ビジネスの記者。転々と部署を異動してきた器用貧乏。それでも、何とか中国経済はモノにしたいと願う中年記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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