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小泉氏・麻生氏のスピーチから学ぶ「思慮深き発言」

賛成・反対意見はみんなに見せるものだ

  • 武部 恭枝

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2012年8月21日(火)

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 今回は、「思慮」という視点から、小泉総理と麻生総理の説得力を比較してみよう。アリストテレスは、話し手が信頼に値する人物だと判断されるように話せば、その人の説得力は高まると言っている。この話し手の人柄による説得方法は、エートスによる説得と呼ばれている。[1]

 では、どのような人柄が信頼につながるのだろうか。そのよりどころとして、アリストテレスは「思慮」という資質を挙げている。[2]

 確かに、私たちには、思慮深いと感じる人を信頼する傾向があるようだ。では、どのように話せば、思慮深さが伝わり、エートスの説得力が高まるのだろうか。この「思慮」という資質については、フランスの批評家ロラン・バルトが興味深い解説をしている。

 「思慮。これは、よく思案し、賛成と反対をよく考量する者の資質である。それは客観的な知恵であり、誇示された良識である。」[3]

 バルトの解説を念頭に、「思慮」という視点から、小泉総理と麻生総理の説得力を比較してみよう。まず、小泉の言葉が、どのように「思慮」を伝えているかを分析してみる。 

小泉総理の持論 民営化賛成論を組み立てる

 2005年8月8日、参議院で郵政民営化法案が否決されると、小泉総理は衆議院を解散し、記者会見で、次のように述べた。

「今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきり国民の皆様に問いたいと思います。」

 総選挙の争点を郵政民営化の賛否にした小泉は、国民の支持を得るために、長年の主張である持論を展開した。

「郵便局の仕事は本当に公務員でなければできないのか、・・・私はそうは思いませんでした。
「・・・今は公共的な仕事でも民間人にできるものは民間人に任せなさいという時代ではないでしょうか。・・・大事な仕事は公務員がやるんだと、そういう考えはもう古いと思います

国民が共感するような、分かりやすい言葉で、郵政民営化論が述べられる。また、民間人の力によって、民営化が実現可能であるとの考えも表明される。

「むしろ民間人によって・・・今よりももっと多様なサービスが展開できる。国民の利便を向上させる。国民の必要とする商品なりサービスを展開してくれると思っております

とはいえ、国民すべてが郵政民営化に賛成するとは到底期待できない。どのような立場の人なら賛成してくれるのか。小泉は、日本の将来像と絡み合わせて、賛成派の論理を組み立てていく。

参考文献
[1] アリストテレス、戸塚七郎訳(2009)『弁論術』、岩波文庫、p32.
[2] 同、p159-160。
[3] ロラン・バルト、沢崎浩平訳(2005)『旧修辞学便覧』、みすず書房、p122。

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