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定着するマイナス金利、銀行再編の引き金となるか

滞留するマネーを刺激する劇薬の合理性

2012年8月8日(水)

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 ここ1カ月、ユーロの債務危機や米国の「財政の崖」と並んで、がぜん国際金融市場の注目を集め始めたテーマが「マイナス金利」である。金利はゼロが下限であるというのが市場の常識であったが、実際にマイナス金利が存在し得ることが欧州で証明されたからだ。ほんの少し前まで、マイナス金利とは1970年代にスイス中銀が為替管理の一環として用いていた歴史上の遺物でしかなかった。

 そんな異様な金利が、いま脚光を浴びている。ドイツをはじめとする欧州主要国の国債市場でマイナス金利が定着しているのである。債券には通常金利が付くので、この意味は分かりにくいかもしれない。例えば「1年債の利回りがマイナス0.1%」ということは、1年後の償還金10万円を確保するために10万100円支払う、ということだ。100円の損である。機関投資家ならば10億円投資で100万円損することになる。とても有り得ない話のように聞こえる。

 だがそれが、ドイツだけでなくオランダやスイス、フランス、オーストリア、フィンランドそしてデンマークといった国々の短期国債で観察されている。これは従来の債券市場では考えられないことであり、一時的な異常現象だという人も少なくないが、なかなか修正される気配は出てこない。

もはや「一時的現象」「異常現象」では説明しきれない

 最初に国債市場にマイナス金利が表れたのはドイツであった。同国が2012年1月初めに行った6カ月もの国債入札結果がマイナス0.0122%となったのである。流通市場ではまれにマイナス金利が生まれることがあったが、入札でのマイナス金利は初めてのことであり、市場では「ドイツがユーロを離脱してマルクに戻ることを先読みした買いではないか」といった声が聞こえた。

 もっともそれはギリシヤ不安などを背景としたややパニック的な異常現象だという見方が強く、その後数カ月間は市場もそれほどマイナス金利を意識しなくなっていた。ところが6月以降、このマイナス金利が流通市場に定着し始め、はじめは6カ月や12カ月という短期債に限定されていたそんな「氷点下の金利」が、2年債にも見受けられるようになる。そして7月にはそれがオランダなど他国の2年債市場にも波及するようになったのだ。これはもはや「一時的現象」「異常現象」という言葉では説明しきれないのではないか。

 スイス国債への投資は、一段のスイスフラン高を狙った投機的な思惑があると見ても良いだろうし、ドイツやオランダなど「ユーロ圏の勝ち組」への国債投資もユーロ崩壊リスクへのヘッジといった意味合いがあるのも事実だろう。だがより根本的に、ユーロ危機が「想定外の景気後退を引き起こす大惨事リスク」を市場が意識し始めたのだと捉えることもできる。想定外という言い訳は、いまや投資家にも許されない時代なのだ。

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「定着するマイナス金利、銀行再編の引き金となるか」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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