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3回目の成長戦略をどう評価するか

「日本再生戦略」から成長政策を考える(その1)

2012年8月22日(水)

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 今回は「人口減少下での成長戦略」について考えるつもりだったのだが、どう書こうか考えているうちに、7月末に政府が「日本再生戦略」を発表した。すると、これについて、新聞、テレビ、ラジオから次々にコメントを求められるという事態になった。そこで、じっくりとこの再生戦略を読んでみると、この中に、論じるべき多くの課題が含まれていることが分かってきた。

 ざっと並べただけでも「人口が減少する中で経済成長を高めるためにはどうすべきか」「これまでの成長戦略はなぜ思うような効果を発揮できなかったのか」「これまでの成長戦略の策定方法には問題はなかったのか」「成長のための構造改革とはどんなものなのか」「名目3%、実質2%といった成長目標をどう受け止めるべきか」「鳩山内閣当時出てきた、GDPに代わって幸福度を目指すという方向はどこに行ったのか」「自民党の成長戦略の方はどうなっているのか」などである。

 そこで、やや執筆計画を修正して、以下何回かにわたって、「再生戦略」を通じて成長政策の諸課題を考えていくこととしたい。今回は「再生戦略」の概要を紹介し、これを基本的にどう評価するかについて考えてみよう。

民主党政権での成長戦略の歩み

 今回決定された「日本再生戦略」は、いわゆる成長戦略の基本方針を明らかにしたものである。これは民主党政権下における3回目の成長戦略である。

 日本経済を再生していくためには、「車の両輪」とも言うべき二つの基本的な政策が必要となる。1つは財政再建であり、もう1つが成長政策である。野田総理はこれまで、財政再建の方に力を注いできたわけだが、今回、成長政策についてもその方向が明らかにされたわけだ。これは大変結構なことである。

 今回の再生戦略では、意欲的な数値目標が掲げられている。すなわち、2020年度までの平均で名目3%、実質2%の経済成長率を実現し、100兆円を超える新たな市場、630万人の雇用を創出するとしている(トータルの市場規模、雇用創出数は、7月30日の日本経済新聞による)。

 その上で、重点分野をグリーン(エネルギー・環境分野)、ライフ(医療・福祉分野)、農林漁業、中小企業という4つに絞りこんでいる。具体的には、例えば、エネルギー・環境分野では、今後、大きな市場拡大が予想される蓄電池の開発企業を重点的に支援するとしており、医療・福祉分野では、再生医療の実用化や介護ロボットの普及などを促すとしている。

 今回の再生戦略を評価するために、民主党政権下での成長戦略の歩みを簡単に振り返ってみよう。政権交代が実現し、鳩山内閣が発足してしばらくの間、民主党政権には成長戦略が存在しなかった。政権発足直後の民主党政権は、「とにかくマニフェストさえ実行すればよい。マニフェストを実行すれば、子ども手当て、高校無償化などで家計の所得が増えるから自動的に望ましい成長も実現するはずだ」というスタンスであり、望ましい成長率についての目安さえ持っていなかった。

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「3回目の成長戦略をどう評価するか」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長