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官僚は「競争好き」か「競争嫌い」か

原英史さんと公務員制度改革について論じ合う【2】

2012年8月28日(火)

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前回の対談から読む)

 今回は、元経済産業省の官僚で、大阪府、大阪市の特別顧問でもある原英史さんとの対談の2回目です。いまだに明治以来の「伝統」が根強く残っているという官僚の世界。果たして、官僚は競争が好きなのか、それとも嫌いなのか? 矛盾する競争に対する姿勢が、国民にとって不可解なさまざまの事象の原因でもあるようです。

橘川:日本の近代化は、明治維新です。あれの推進力は地方藩の官僚たちですよね。坂本龍馬って地方の下級武士だけど、いわば地方公務員みたいなものでしょう。明治維新は、大衆や市民が蜂起して生まれた革命ではなくて、官僚たちによる革命だったと思う。大衆はただ、官僚たちのリーダーシップに従ってついていっただけですよね。明治維新は官僚革命みたいな面がある。

昔の官僚は組織が滅びる危機感を持っていた

原英史(はら・えいじ)
「政策工房」社長。1966年東京都生まれ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学ロースクール修了。89年通商産業省(当時)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、国家公務員制度改革推進本部事務局勤務。2009年7月退官。2011年12月大阪府特別顧問、大阪市特別顧問に就任。著書に『官僚のレトリック―霞が関改革はなぜ迷走するのか』『「規制」を変えれば電気も足りる』ほか。

:官僚組織は古今東西どこにでもありました。江戸時代は、幕府や藩の行政組織を支えた官僚がいたし、明治以後の政府にもいた。ただ、今の官僚と大きく違うのは、藩でも明治政府でも、官僚たちが失敗すると、組織そのものが滅びてしまうという危機感をもっと持っていたと思うのです。比較的安定した江戸時代でも、一歩間違ったらお取りつぶし、という危機感が、少なくとも今の役所よりはあったのでないでしょうか。

橘川:官僚たちが、藩や国家を守るというのではなくて、自分たちそのものを守ろうという意識になってしまったんだな。

:だから、前回の話のように、バブル崩壊以降、お城が大変な状態になっているのに、自分たちの世界を守って、その中で「様式美」を追求し続けるみたいなことが起きてしまっている。

橘川:世間知らずの原理主義ですね。

:制度改革の話に戻すと、失敗すれば組織が滅びるという危機感を制度の仕組みの中に入れなければならないと思うんですよ。例えば、役所の目標を設定して、その目標に達しなければ、役所がお取りつぶしになる、といった仕組みも必要だと思う。

橘川:2011年3月11日というのは、ある意味では日本が滅びるかもしれないという危機感を日本人全体が共有したんだと思います。しかし、その後の復興予算の扱い方を見ていると、役人だけが、その意識を共有しなかったのではないかと思えるんです。

 予算の組み方や執行の仕方が、3・11以前と全く変わっていない。復旧・復興関連予算が約15兆円ついたが、年度内の未消化が6兆円ほどあった。それを安住淳財務相は「足りないより過分であった方が良い」などと言って、すましてる。これをマスコミはほとんど攻撃しない。余って、それでも復興できたならよいけど、実際はやるべきことができていないですよね。問題は、お金の金額ではなく、実質的な使い方が、バブル以降の危機感のない使い方とまるで変わっていないということが問題なんです。予算をつけたらそれで自分たちの仕事は終わりだと思ってるのではないか。

:これは、昨年からずっと言っていたのですが、現場に権限をおろして、現場のニーズに応じてお金を使える仕組みにしたら良かった。そうすれば、もっと有効にお金も知恵も使えたはずです。ところが、結局、官僚も国会議員も、そういうことはやりたくない。なぜかというと、そうやって現場に権限をおろせば、自分たちの「権力」の源がなくなってしまうからです。

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「官僚は「競争好き」か「競争嫌い」か」の著者

橘川 幸夫

橘川 幸夫(きつかわ・ゆきお)

デジタルメディア研究所代表

1972年、音楽雑誌「ロッキングオン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後も、さまざまな参加型メディア開発を行う。現在、阿佐ケ谷アニメストリート商店会会長、未来学会理事などを勤める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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