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1票を0.6票と0.4票に分けて投票できたっていい

原英史さんと公務員制度改革について論じ合う【3】

2012年9月4日(火)

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 元経済産業省の官僚で、大阪府、大阪市の特別顧問でもある原英史さんとの対談シリーズも最終回を迎えました。官邸前デモについて「古い階級闘争スタイルを卒業して、新しい政策論争と意思形成のスタイルを模索すべきではないか」と言う原さん。お金の配り方やインターネット時代の選挙制度のあり方など、近未来の日本の民主主義のかたちについて、まったく新しい視点で論じます。

:橘川さんは、官邸前デモについては、どう思いますか。あれが新しい民主主義だみたいな説を時々耳にしますが、僕は懐疑的なんです。

橘川:僕はシンパシーを感じます。デモというのは、日本のような国では、シンボリックな行為であって、それが直接的な効果があるわけではない。金曜日の官邸デモが自然発生的に膨れていったのは、現行の選挙制度への不満があるのではないかと思っています。民主主義国家は、選挙を通して民意を反映させるわけですが、原発や消費税みたいな国民的に大きなテーマが決まる時に、選挙投票ができない。その不満が、投票行動の代わりに官邸に向かわせたのではないかと。大きな問題は、国民投票で決めるべきだ、という意志の表れではないかと見ています。

橘川幸夫氏

 ただし、大江健三郎さんや坂本龍一さんのような有名人が大衆の代表のような見せ方のデモは違うと思います。大江さんの文学は好きでしたし、坂本さんの音楽はもちろん好きです。だからといって、そういう有名人が大衆の代表みたいな扱われ方で、マスコミもマスコミの読者も話題にするのは、ずいぶん古い方法だなあ、と思います。せっかく無名の一人一人の声として集まって来ているのに、有名人をありがたがったりするのは何なんだろうと思う。組合や団体の旗も違和感がある。あの動きが、どういう方向に進んでいくかが、本当の評価の分かれ目だと思います。

官邸前デモのやり方はもう古いんじゃないか

:僕も、今回のデモを全く評価しないわけじゃない。原発の再稼働にこれだけ強く反対している国民が大勢いるのに、その声が政策決定に反映されていない。何とかできないのかという局面で、たぶんあのやり方で声を上げることが最善だったと思うし、実際に有効だったと思う。その意味では、大きな意義があったと思っています。

 ただ、原発問題の議論を見ていると、推進派と反対派がくっきり分かれ、その間の溝がどんどん広がっているような感じがします。従来は、よく言われる原子力ムラみたいなのがあって、強固な産官学共同体のもと原発推進がなされてきた。原子力委員会で、推進派だけの秘密会合をやっていたといった問題もあった。

 一方で、3・11以降、反対派が徐々に声を上げるようになって、官邸デモ・国会デモにつながっているわけだけど、「再稼働反対」一色で集まっているという意味では、推進派秘密会合のいわば裏返しにすぎないとも言える。しかも、反対派の人たちは、原発推進ないし維持を唱える人を、「どうせ電力会社から金もらってる原子力ムラだろう」みたいに決めつけ、人格否定、対話拒否になっているような感じ。政府のエネルギー戦略の意見聴取会で、電力会社の社員の意見表明が問題になって自粛になったのも、その延長上でしょう。

コメント13件コメント/レビュー

“1票を投じる”ことがイコール民主政治か、という問題についてはアルバート・ハーシュマン辺りを参考にしていれば一足飛びに直接民主制云々とまでやらずにいろいろ議論を楽しめる(笑)と思うのですが。で本題の主旨とは異なるかもしれませんが、インターネットは基本的に顔の見えない場所かつ自由に一方的に議論に参加/退出が可能な為に、一定のクラスタ内であればともかく、それを出たレベルになると単一の争点でもって極端な敵と味方に分ける効果の方が(今のところは)はるかに大きいような気がします。SNSも然り。ちょっとその辺の扱い様も気になったところでした。(2012/09/05)

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「1票を0.6票と0.4票に分けて投票できたっていい」の著者

橘川 幸夫

橘川 幸夫(きつかわ・ゆきお)

デジタルメディア研究所代表

1972年、音楽雑誌「ロッキングオン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後も、さまざまな参加型メディア開発を行う。現在、阿佐ケ谷アニメストリート商店会会長、未来学会理事などを勤める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

“1票を投じる”ことがイコール民主政治か、という問題についてはアルバート・ハーシュマン辺りを参考にしていれば一足飛びに直接民主制云々とまでやらずにいろいろ議論を楽しめる(笑)と思うのですが。で本題の主旨とは異なるかもしれませんが、インターネットは基本的に顔の見えない場所かつ自由に一方的に議論に参加/退出が可能な為に、一定のクラスタ内であればともかく、それを出たレベルになると単一の争点でもって極端な敵と味方に分ける効果の方が(今のところは)はるかに大きいような気がします。SNSも然り。ちょっとその辺の扱い様も気になったところでした。(2012/09/05)

残念ながら極めて近視眼的な議論です。0.4票とか0.6票とか言いますが、元々高々10年くらい前まで日本は中選挙区制を取っていたので、今のようなall or nothing的な発想からはかなり遠い所に居たのが実態。今だって個人と比例という形で同時に複数の意思表示は可能ですし。制度として考えた時にこの程度の思いつきは既に誰かが考えたり、試行錯誤されたりしているということ。「スマホで投票」? 精々数年の歴史しか無く、今後どのように革新が進んで行くかも不明確なスマートフォンという「今」にピンポイントに対応する必然性を時の流れの中で考えるべき。それに、「私」が「私」であることを自他共に保証するシステムは未だネット上では確立出来ていないのが実状。国民総背番号制にして、IDと指紋認証まですればいいかも知れないですが、それって投票行動がヒモ付きで国家に掌握されますわな。正直あたしゃごめんだねそんなのは。(2012/09/04)

仮に支持したい政策の割合に沿って「1票を0.6票と0.4票に分けて投票できた」としても、その0.6票や0.4票がどの政策に対するものかという『色』が付いているわけではないので、あまり意味が無いのでは。▼もちろん小選挙区制なんていう死票の多い制度は止めて、全てを得票率に近い比率で議席を配分する比例制だけにするなら、細かな1票の分配の意味も活きてきますが。(2012/09/04)

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