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「ファンドレイザー」というお仕事

NPO活動に欠かせない役割とは

2012年8月24日(金)

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 資格ブームと言われて久しい。就職、転職に有利に働きそうなものから、好事家の熱中度合いを示すためのものまで様々な資格を見かける。そんな中、今年6月にNPO(非営利団体)において重要な業務の検定試験が始まった。日本ファンドレイジング協会が実施する「准認定ファンドレイザー」「認定ファンドレイザー」である。NPOなどで働くファンドレイジング(資金調達)の担い手を育成、支援する民間の技能検定だ。

 国内のNPOには一部の有力団体を除いてファンドレイジングを専任的に従事する職員はおらず、また資金が乏しい中で職員やボランティアは手弁当で活動に従事しがち。その結果、社会的に意義のある活動に取り組んでいても、働く人は疲弊してしまい、団体は活動に行き詰まってしまう。

 その点でNPOの本場、米国はずいぶんと違うようだ。同国でファンドレイザーとして働いてきた内藤るみ氏に話を聞いてみた。内藤氏は国内の音楽大学を卒業後、大手金融機関に就職している。自身の演奏家としての才能に見切りはつけたものの、漠然と「芸術振興をビジネス面でサポートする仕事に携わりたい」という希望は抱いていた。実行に移したのは、夫ともに米国に居を移した2006年だ。

 まず地元のオーケストラの事務局にインターンの立場で入り、ファンドレイザー(資金調達担当者)として働き始めた。その後、音楽関連団体でファンドレイジング業務のキャリアを積んだ。渡米後4つ目の勤務先として、ついにボストン交響楽団でファンドレイザーの職を得た。同楽団には常時40人ほどのファンドレイザーがいる。日本円に換算しておよそ80億円の活動予算のうち、事業収入で賄えるのは半分程度。ファンドレイザー1人が、寄付金1億円程度を獲得しなければならない計算になる。

 内藤氏によると、ボストン交響楽団ほどの著名オーケストラでも国や州からの補助金の類は予算の5%に満たない。オーケストラはコンサートホールの規模にも上限があるため、チケット収入には頼りにくい。例えば、同じボストンでもメジャーリーグ、レッドソックスの球場は3万7000人を収容できるが、大型コンサートホールでは2000人が上限。しかも年間に講演できる回数で比べても、難易度の高い曲目を高度なレベルで披露しようとすれば、どうしても野球の試合数の1割に満たなくなる。にもかかわらず、オーケストラを構成する演奏家の数は百人近い。リーマンショック直後は彼らを守るため、ボストン交響楽団の一般職員数十人をレイオフ(解雇)しなければならなかったという。

 米国では自らの思想や主張と合致する団体に寄付する文化が定着している。寄付の“市場”も裾野が広い。「寄付白書2011」(日本ファンドレイジング協会編著)によると、2009年の寄付推定総額は2908億9000万ドル(23兆2712億円/1ドル=80円換算)に上る。ちなみに日本では同年の総額が1兆922億円だった。

 こうした背景もあって、米国のファンドレイザーはその働き次第で多額の収入を得られるという。NPOの社会的地位も高く、優秀な人材が集まるという背景もあるだろう。事実、新卒の就職先としてNPOを選ぶ人も少なくない。余談だが、教育系NPOのティーチ・フォー・アメリカ(Teach For America)は、毎年、大学生の人気就職企業ランキングのトップ10に入っている。

 内藤氏によると年間100万ドル以上の寄付金を集められるファンドレイザーの中には、寄付金の1割程度の年収を得る者もいる。つまり、年収10万ドル以上を手にするNPO職員も珍しくない。腕利きのファンドレイザーは、ヘッドハンティングの対象にもなり、NPOを渡り歩く人もいる。

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「「ファンドレイザー」というお仕事」の著者

上木 貴博

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者

2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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