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「モノ作り」、生き残りへの答え

東北鋳造企業の矜持に見る「質」の転換

2012年8月30日(木)

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 「トヨタさん、工場進出してくれてありがとうじゃない。逆にこちらが応援するんです」。東北の部品メーカー、岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)の斉藤吉雄社長が淡々と語るその言葉は、胸に鋭く突き刺さってきた。

 トヨタ自動車は東北地方を愛知、九州に次ぐ「国内第3の生産拠点」としようとしている。昨年1月には傘下のセントラル自動車が最新のモノ作りノウハウを詰め込んだ宮城工場の操業を開始した。東日本大震災により甚大な被害を被った同地域だけに、裾野の広い自動車産業が復興に寄与するとの期待は大きい。

 そうした文脈の下で取材に訪れていた記者は、正直にいうと斉藤社長の言葉を聞いてあっけに取られた。「トヨタが進出してくれて仕事が増えた」というコメントが来るのだろうと勝手に予期してしまっていたことに気付かされ、恥ずかしさに思わず赤面した。

 それにしても大トヨタを向こうに張って、こう言ってのけられる経営者はどれだけいるだろうか。「モノ作りの力を舐めるな」と、叱り飛ばされた気持ちになった。

モノ作りの矜持

 斉藤社長がここまで言い切るのは、もちろん高い技術力や開発力の裏付けがあるからだ。「鋳造は『す』との戦い」と斉藤社長は語る。すとは、鋳型に流し込んだ溶けた金属が冷却・凝固するときに、空気が内部に閉じ込められて生じる空間のことだ。すが入った鋳物製品は耐久性が落ちる。

 岩機ダイカスト工業の強みは、発注元の指示に対して、すが入りにくい製品設計をきめ細かく逆提案する点にある。量産時の歩留まりが向上するため部品単価が安くなる。発注元にも量産を請け負う岩機ダイカスト工業にもメリットが生じる。まさにモノ作りのノウハウをカネに変える術を身に着けているのだ。

 いたって単純なサイクルだが、それを突き詰めているから強い。岩機ダイカスト工業には、新規開拓を担当する営業はいないという。必要がないからだ。「顧客は口コミで来る。そしてこれまで1度受注した顧客企業に、逃げられたことはない」(斉藤社長)。

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「「モノ作り」、生き残りへの答え」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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