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利権の場になりかねない消費税軽減税率

  • 編集委員 田村賢司

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2012年8月31日(金)

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 景気と政局の成り行き次第でまた後戻りしかねないものの、ともかく方向は決まった消費税引き上げ。だが、道筋が見えたところで今度は、その「通り」の中で新たなぶつかりあいが激しさを増してきた。

 食料品など生活に密着した分野の消費税率を本則(2014年4月から8%、2015年10月から10%へ)とは別に低く抑える軽減税率の導入を巡る対立である。軽減税率は、食品などの消費は誰にも一定程度必要になるため、収入の低い人ほど、所得に対する消費税負担が重くなる逆進性対策になるとされているが、これが利権争いの舞台になりかねなくなってきたのだ。

 元々、民主党は野党時代から軽減税率とは別の逆進性対策である給付付き税額控除の導入を主張してきた。こちらは、消費税の税率をいじるのではなく、所得が一定の水準を下回る層への支援額を決め、その分の所得税を軽減する。所得税額が少なく、支援額に届かない場合は、その不足分を現金給付するというものだ。

 軽減税率は、(1)企業が取り引きをする際、税額が明示された仕入れ業者からのインボイス(送り状)が必要になる上に、仕入れ品の税率が複数になるため、事務負担が大きくなる、(2)消費税率1%に相当する2.5~3兆円もの消費税収が減少する、といった問題からこれを否定してきたのだ。

「消費税で損をしてきた」と医師会

 ところが、消費税引き上げを通すために民主党が今年6月、自民、公明党と行った3党協議で軽減税率が急浮上。給付付き税額控除と合わせて、消費税引き上げ法案成立後にどちらを採用するか詰めることとなった。

 軽減税率を巡る水面下の暗闘は、この3党協議の頃から急激に激しくなっていった。1つは、マイナンバー制を導入しても、給付付き税額控除の前提となる個人の所得のうち、預金利子・株式投資の利益といった金融所得や、中小企業経営者らの所得を捕捉するのが難しいといった点が改めて指摘され始めたこと。2つ目は、軽減税率導入を見越したかのようにその適用に食品以外の分野からも名乗りが上がり始めたのである。

 とりわけ目立つのが、病院や開業医など医療機関の動き。診療費は現在、消費税が非課税となっているが、日本医師会は「これを課税扱いにした上で、ゼロ税率か軽減税率にすべき」(三上裕司・常任理事)と、強く主張し出したのだ。

 これも少し説明が必要だろう。診療費は消費税非課税だが、病院・開業医の仕入れや設備投資には当然、消費税がかかり、価格に含まれている。通常なら仕入れ税額分は価格に転嫁して、最終的に消費者に負担して貰うことになるのだが、医療や介護、学校教育などには消費税がかからないことになっている。

 ただし、診療費の場合はその分、「消費税導入(1989年)と、引き上げ時(97年)の診療報酬改定時に、薬価や診療報酬本体を引き上げることで対応している」(財務省)とされてきた。通常なら企業自身が価格に仕入れ税額を転嫁するところを、公定の診療報酬引き上げで賄っているというわけだ。

 だが、日医はこれに強く反発する。日医の調べによれば、医療機関が仕入れや設備投資で負担する消費税は収益の2.2%。一方、診療報酬で補填したとされる分は1.53%しかなく、「差額の0.67%分は持ち出し、“損税”になっている」(三上常務理事)というのである。

 だからこそ、診療費への消費税を現在の非課税から課税にすることで「仕入れ税額の還付を受けて“損税”を解消」(同)できるとし、税率も軽減税率かゼロ税率にすれば、患者負担も少なくなると主張する。

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