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大銀行に吹き始めた逆風

リーマンショックから4年、大手米銀へ新たな試練

2012年9月12日(水)

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 金融市場では、米連邦準備理事会(FRB)による追加緩和や欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れなどに焦点が当たっているが、金融危機後の経済対策として中央銀行による施策に限界があるのは日本人が一番よく分かっているだろう。世界経済は低成長を余儀なくされ、各国が徐々に保護主義的・民族主義的な傾向を強めるのは確実だ。日本経済もそうした濁流の中に飲み込まれ始めている。

 講演会や勉強会でそんな話をすると、質疑応答で必ず出る質問がドル円などの為替レートの行方である。筆者の場合、どちらかと言えば投資家ではなく企業経営者に向けて話すことが多いのだが、円高・円安どちらに振れても大丈夫だと胸を張る強者はやはり少数であり、大多数は円の行く先に大きな不安を抱いている。特に輸出関連企業においては、年初に奇妙な円安期待論が蔓延したことへの気分的な反動もあるのだろう。

さらに強まる「しぶとい円」という認識

 米国経済は何とか回復基調をたどっているが、現時点でドルを買おうという気にはなれない。8月末にバーナンキ議長が追加緩和への強い姿勢を見せたように、財政・金融に次ぐ第三の経済政策たる米国のドル安政策が簡単に終わるとは思えないからだ。かと言って、ユーロはなおさら買えない。たとえ日本の貿易赤字が暫く続いたとしても、消去法の中で円が買われる構造は当面大きく変わらないだろう。

 円が選好される他の要素としては、ややこじつけのように思われるかもしれないが、実質金利高や世界一の対外資産、復興に見られる日本経済社会の底力、そして金融システムの健全性などを挙げることが出来る。「円がこんなに買われる理由は無い」という日本人特有の自虐的観察法からの結論と違って、円に対する海外市場の信認は厚いのである。この「しぶとい円」という認識は、私が10年以上前の現役時代に感じたよりも、欧米経済の脆弱感が増えた分だけ、さらに強まっているように思える。

 だが上述した要因の中で、金融システムの健全性については疑義を唱える人も少なくないかもしれない。先般ある講演会でこの話をした際にも、貸出先が無くて国債を大量に積み上げるような邦銀のシステムは健全とは言い難い、という反論があった。これはもっともな指摘であるが、欧州系銀行との比較においては「預貸率が低い」=「市場調達の必要性が無い」ということは市場不安が慢性化する中では有利であり、米銀との比較においては「低収益性という環境を受容している(あるいは諦めている)」という点で一日の長がある、と言えなくもない。

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「大銀行に吹き始めた逆風」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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