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求む! 中小企業の目利き

会社の成長を一緒に考える人を

2012年9月14日(金)

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 今年3月から6月にかけて、中小企業庁が主催する「“ちいさな企業”未来会議」という中小企業の活性化策を考える会議に、コアメンバーとして参加してきた。今後の日本を支える中小企業をどう育成していくかがテーマで、雇用や金策、海外進出など数多の課題が議論された。

 個人的な意見として掲げた課題は、日本の全企業の99.7%を占めるという約400万社の中小・零細企業を、誰が見るのかという点だ。省庁だけで管理・監督していくのは無理な話だろう。では、誰が見るべきか。地方銀行や信用金庫、第二地銀といった地域の金融機関か、税理士が適任ではないかと個人的に考える。中小企業に必要なのは、その企業を深く知る「目利き」の存在だ。

 目利きというのは、その企業の強みや弱みをきちんと把握し、第三者に伝えることができる人という意味で使っている。

 企業活動を行っていくうえで、金融機関と税理士は、必要不可欠な存在だからだ。400万社の末端までをカバーできる。彼らが地域の中小企業の目利き役となって、会社の将来についてや、悩みについて相談できる相手になれば、経営に苦しむ町の社長の助けになるかもしれない。

 大企業とは違い、ブランドもなければ資金力も乏しい。優秀な人材がそろっているとも限らない。そんな状況下で企業を成長(もしくは存続)させていかなければいけない。しかし、自社以外の経営の経験がなかったり、業界以外の知識に乏しかったりする経営者にとって、数百社の経営を見てきた専門家のアドバイスは参考になるはずだ。

社長の相談に乗る信用金庫

 地域の金融機関が中小企業をしっかりと見る――。この考えは、実は過去にもあって、国として積極的に取り組んできた。それが「リレーションシップバンキング」だ。2003年に始まったこの制度は、数字だけで企業への融資を判断するだけではなく、長期にわたって付き合い、そこで得た情報などから顧客企業の将来性を考えて融資するものだ。

 ただ、この試みは成功しなかった。その原因の1つに、金融機関の姿勢が変わらなかったことが考えられる。「相談するにも時間がないと断られる」という中小企業経営者の不満の声が漏れ聞こえてくる。毎日集金にやってくる担当者は、顧客を数十件抱えており、1件あたりに割く時間はわずか数分。たまに長い時間を取ってくれたと思ったら、自行の商品やサービスの紹介で終わってしまう。これでは、相談したいこともできない。

 この状況に対して、自ら方向転換の舵を切った信用金庫がある。東京都中野区に本店を置く西武信用金庫だ。西武信金は金融庁がリレーションシップバンキングの方針を発表するよりも前に、地域金融としてやるべきことは何なのかを再考していた。地域の企業にとって、金融機関としてやらなければいけないこと。それは、便利屋のように日々のお金を集金する活動だけでなく、それぞれの企業が成長していくための道筋を一緒に考えることだった。結果、西武信金は集金業務の廃止を決断する。

 日々の集金がなくなると、経営者は自分自身でATMなどにお金を預けに行かなければいけない。一見すればサービスの改悪と捉えられてしまう。貸出先からは不満の声も聞かれ、ライバルの金融機関は乗り換えを促すなど、顧客の喪失にもつながった。

 ただ、集金をやめる代わりに、月に1度は30分から1時間にわたり、経営相談に乗る時間を創るようにした。「実は、悩んでいることがありまして…」。それまでは、会っても数分のコミュニケーションしかなく、きちんと話し合う時間がなかった。だが、経営相談に乗る時間をとったため、以前は話せなかった悩みや相談などが、経営者から寄せられるようになる。

 「原材料の価格が高くて…」と悩む企業には、取り引きのある企業で1円でも安く仕入れられる企業を紹介する。そうして課題を解決していくことで、顧客企業の成長を促す。

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「求む! 中小企業の目利き」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官