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北方領土を歩いてきた

ロシア人と一緒に領土問題を考える

2012年9月20日(木)

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 日本と国境を接する近隣諸国と、領有権を巡って緊張状態が続いている。そんな最中の8月下旬、私は北方領土への「ビザなし交流団」の一員として、択捉島を訪れた。

 北海道・根室港を出発、択捉島の北西部にある内岡(なよか)港へと向かう船旅には、今年春に新調されたばかりの4島交流のための専用船「えとぴりか」号が使われた。

 根室・納沙布岬を右手に、その向うに歯舞諸島が見える。この海域には日露間の境界である「中間線」が引かれている。納沙布岬からそのラインまでたったの1850m。むろん、無許可の船がラインを超えるとロシア側から銃撃を受ける恐れがある。

 我々の船も中間線近くまでは、海上保安庁の巡視船が併走してくれるが、境界近くなると、くるりと向きを変えて帰っていってしまった。

エトピリカの群れに遭遇

 航海の途中はイルカが船と並走し、日本では絶滅寸前の海鳥エトピリカの群れにも遭遇。海から見る国後島、択捉島は起伏に富み、日本の北限に残された未知の自然にうっとりした。携帯電話を取り出すと、すでにロシアの通信会社の電波に変わっていた。

 深夜0時過ぎ、錨を下ろす音がした。濃霧に包まれた択捉島の影を確認できたのは、翌朝だった。

 寝ぼけ眼の私を覚醒させたのは、船の前に停泊するロシアの国境警備船だった。よく見ると、甲板に大砲がついている。北方領土におけるロシアの実効支配の現実を、上陸前に見せつけられた気がした。

 北方領土の開発の現状については、後日、本誌にて詳述する。ここでは少し、択捉島のロシア人の暮らしを紹介しながら、領土問題の解決の難しさについて、考察してみたい。

コメント5件コメント/レビュー

「1945年8月に旧ソ連が日ソ中立条約を破棄し、北方4島を占領」とありますが、占領されたのは、「南樺太、および千島列島全て」だと思います。歴史の勉強をもっと日本人もすべきだと思います。(2012/09/24)

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「北方領土を歩いてきた」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

ジャーナリスト、浄土宗僧侶

1974年、京都市生まれ。新聞記者、日経ビジネス記者、日経おとなのOFF副編集長などを歴任後、2018年に独立。「宗教と社会」をテーマに取材を続ける。正覚寺副住職、浄土宗総合研究所嘱託研究員、東京農業大学非常勤講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「1945年8月に旧ソ連が日ソ中立条約を破棄し、北方4島を占領」とありますが、占領されたのは、「南樺太、および千島列島全て」だと思います。歴史の勉強をもっと日本人もすべきだと思います。(2012/09/24)

反発する人が多そうですが、北方四島はロシア領土のまま日本人にも居住権を認めて貰うのが現実的かなと思いました。地方の過疎化の中、北方四島に移住する人がどれだけ居るか分かりませんが。他の方のコメントにもあるように、北方四島を取り返す「機」は90年代に過ぎて、当面訪れない気がします。将来、「機」が来たらその時はその時の判断ですが、今のところは共存共栄が現実的ではないでしょうか。(2012/09/20)

日本は国際法上、当然領土と思われる範囲を主張しているに過ぎません。しかしロシアは国際法より力を優先しますので、返還なぞは経済協力の餌にされるだけでしょう。でもこれからのロ・中の国力差と中の膨張主義を考えればシベリアが今のままとは考えられません。その時には静かに返して貰いましょう。(2012/09/20)

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