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さらに問題が多い自民党の成長戦略

「日本再生戦略」から成長政策を考える(その4)

2012年9月19日(水)

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 この連載では民主党の成長政策を取り上げてきた。その結論は「いろいろ勇ましい目標が並んでおり、それが実現すれば大変結構なことだが、残念ながらエネルギー、TPP(環太平洋経済連携協定)、医療・福祉の改革など手付かずの重要課題が残されており、このままでは実現は難しそうだ」というものだった。

 そうなると、誰もが「では、自民党の成長戦略は期待できるのか?」と考える。そこで今回は、自民党の成長戦略を取り上げることにしよう。なお、現在、自民党総裁選が行われる中で、各候補者が独自の経済政策を打ち上げているが、論評する段階には至っていないと思われるので、ここでは自民党が党として正式に決定した政策を取り上げることにする。

自民党の成長戦略の内容

 自民党の成長戦略は、2012年8月31日に発表された「日本経済再生プラン~『産業投資立国』と『価値の創造拠点』を目指して」である。これを一読して、私は次のように感じた。

 第1に、民主党の成長戦略がどちらかと言えば、国民生活重視型である(特に、鳩山、菅内閣時代はそうだった)のに対して、自民党の戦略は産業・企業重視型である。「日本経済再生プラン」では、「日本が世界でいちばん企業が活動しやすい国にするための新しい経済成長モデルを作り上げる」としており、そのため「『日本経済再生・競争力強化基本法』を制定して、海外投資の促進、成長分野への集中的な政策投入、国家戦略としての科学技術の推進などによって経済再生を図る(文章を一部省略)」としている。

 私はこうした産業・企業優先の姿勢に賛成である。経済の目標は国民生活を豊かにすることだが、そのためには政策的に生活に直接働きかけるのではなく、まず産業・企業の活力を十二分に発揮させ、その成果を生活面に広げていくことが必要である。要するに、「生活を豊かにするためには、まずは稼ぎを増やさなければ話にならない」ということである。

 なお、わき道にそれるが、上記の文章にも出てくるし、後述する「国土強靭化基本法案」もそうなのだが、「政策を実行するためにはまずは法律を作ることが必要」という発想には私はかねてから疑問を持っている。

 「法律で書かなければできないこと」は意外と少ないし、法律に書いたからといってできないものはできないからだ。にもかかわらず法律を作りたがるのは、「それで仕事をした気になるからだ」というのが私の持論である(かなり乱暴な持論だということは自覚している)。

 法律を作るのは大変な作業である。法案を練り上げ、法制局の審査を受け、国会の委員会で審議し、最後は本会議で議決する必要がある。法治国家のベースである法律を作るのだから、大変でなければおかしい。したがってこれだけの大変な仕事を成し遂げると、それだけで政策を実行したような気になってしまうのだ。

 それが役人にとっての大きな業績になるという点も関係しているかもしれない。私が役人だった時に在籍していた経済企画庁は、法律関係の仕事は少なかったので、そんな感じはなかったのだが、他の省庁では「法律を作る」ということが仕事の大きな柱であるようだ。ある省に出向していた時、次官が年頭の挨拶で「各局は1年に1本法律を作ることを目標に仕事をせよ」と訓示するのを聞いて、「はあ、そんなものなのか」とひどく驚いた覚えがある。

コメント8件コメント/レビュー

田中角栄氏の日本改造論のできの悪い焼き直しに見える。皮肉にも、田中角栄氏の直系?にあたる小沢氏は同考えていることやら(2012/09/19)

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「さらに問題が多い自民党の成長戦略」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

田中角栄氏の日本改造論のできの悪い焼き直しに見える。皮肉にも、田中角栄氏の直系?にあたる小沢氏は同考えていることやら(2012/09/19)

自民党の総裁候補全員がTPPには懐疑的であり、推進派は一人もいない。5人も候補がいるのに一人もいないとは情けない。これで次期総選挙で自民が第一党になったら日本経済のガラパゴス化は一気に加速されるだろう。時代錯誤も甚だしい。言われている様に野田政権の方がTPPに取り組む姿勢を少しでも見せているだけましというものだ。自民の単独過半数は無いだろうから、民主や維新と政策毎に連携して決定せざるを得ないだろう。民主は野田政権になってようやく政権担当らしくなったが、経験が一年程度で少な過ぎる。鳩山、菅の2年間は政権担当党の経験という程の実績は「事業仕分け」以外何も無い。事業仕分けも仕分け人に野党有志でも入れていればもう少し意味のある物になったのに、手柄を独り占めしようとして価値が大きく落ちた。では、自民に期待出来るか?外交で民主よりも強気を打ち出すかも知れないが、過去の自民長期政権時代の実績を踏まえても、大きな期待はしない方が良い。それで経済も閉鎖的な道を選ぶなら「お先真っ暗」としか言い様が無い。維新は現役議員もいるが、素人集団と変わりがなく、一番期待出来ない。八策も何処まで実行する気があるのか心許ない限りだ。多分、何党でも良いから一党に絶対多数を取らせない限り安定した政策は打ち出せないのではないか。(2012/09/19)

>国土政策は、(1)国主導から地方主導へ、<貧乏な地域は公共事業ができない。都市集中になる。>(2)分散中心から選択的集中へ、<?選択的?田舎切捨てということ?>(3)需要頼みの公共投資政策からアウトカム(その社会資本が実現することによって利便性がどの程度高まるのか)重視の公共投資へと向かうべきだと主張した。<利便性が高まることは供給部分を見たもの。需要不足の時には、供給部分だけでは「足りない」のだ。増税して、公共投資ではなく、デフレ不況時は「減税」して公共投資である。(2012/09/19)

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三品 和広 神戸大学教授