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2009年鳩山首相国連演説に学ぶ

キーワードにこだわり過ぎるリスク

  • 武部 恭枝

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2012年9月24日(月)

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 スピーチ作成のコンサルティングをしていると、「何かインパクトのあるキーワードはありませんか」とか、「この言葉をキーワードとして使いたいのですが」と相談されることがある。確かに、キーワードを使って、スピーチのメッセージを効果的に聞き手に伝えられる場合がある。しかし、使い方を間違えると、思わぬリスクを冒してしまうこともある。

 今回は、鳩山由紀夫元総理の国連総会での演説を取り上げて、キーワードの使い方を分析してみよう。

鳩山総理の国連演説「懸け橋」

 自民党から民主党への政権交代直後の2009年9月24日、鳩山総理(当時)はニューヨークで開催された国連総会で一般討論演説をした。

翌日の新聞には、
「鳩山首相:『世界の懸け橋に』国連総会一般討論で演説」(2009年9月25日付毎日新聞)
「『友愛で世界の懸け橋に』鳩山首相、国連総会演説で表明へ」(同日付朝日新聞)
「首相、日本の『変化』訴え、国連演説『懸け橋』役へ決意、実現への道筋焦点に」(同日付日本経済新聞)

というように、「懸け橋」がキーワードであったことが取り上げられている。

「懸け橋」とは何か?

 まずは、「懸け橋」という言葉の意味を確認しておこう。言うまでもないが、「橋」は、人や乗り物が川や渓谷の一方からもう一方に移動するために作られる構造物だ。そこから転じて「橋」という言葉は、双方の間をつなぐもの、関係を作ることという意味で使われる。「懸け橋」も、両者の間で関係や交渉を取り持つ、橋渡しや仲立ちをする、という意味で使われる。

 鳩山総理は英語で演説をし、「懸け橋」に「bridge」 という訳語を当てていた。英英辞典で「bridge」を引くと、「二つの異なるものや人々の間に、関係やつながりをもたせるもの」と同じような意味が載っている。

エレノア・ルーズベルトのスピーチ、国連総会は橋である

 「橋」という言葉を使って、「関係やつながりを作る」という意味を伝えているスピーチの例を紹介しよう。アメリカ合衆国第32代大統領フランクリン・ルーズベルトのファーストレディー、エレノア・ルーズベルトのスピーチである。彼女は、夫のルーズベルト大統領の死後、1946年にアメリカ代表団の一員として国連の第一回総会に出席し、1952年までアメリカの国連代表を務めた。

 エレノア・ルーズベルトは1954年のスピーチで、国連総会を「橋(bridge)」に喩えている。 当時は米ソの冷戦時代。東西陣営の対立は厳しく、国際社会の合意形成の場となることを期待された国連は、その機能を果たせずにいた。

 そうした国際情勢の中、ルーズベルトは国連について、

話をすることには大きな価値があり、これが橋になると考えるべきである。国連総会は、様々な国の間に橋を架ける場になると考えるべきだ」と述べた。

 さらに、「国連には、長年にわたってはぐくまれた慣習や習慣がある様々な背景を持った国々の人々が集まる」「自分とはちがう人々から学ぶことがある」「理解するための基礎として、学び相手の話を聞こうとする姿勢をもつべきである」「ほかの国の人と出会い、理解が深まることになるだろう」とも述べている。[1]

 ルーズベルトは、ただ単に、「国連総会は橋になる」と言うだけでなく、「人々が集まり、出会い、話をし、相手から学び、話を聞き、理解を深めていく」と、関係やつながりが作られていく様子を具体的に描いている。こうした言葉を使うことにより、橋がもつ「関係やつながりを作る」という意味が国連総会の役割とが重なり、メッセージがより効果的に伝わるであろう。

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