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「愛情」「思い入れ」だけを語る社長にマネジメントはできない

「愛情」や「思い」だけでは不十分。経営には別のものも必要

2012年9月27日(木)

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 アーティストであると同時に多くのクリエイターを抱える会社を営む村上隆氏。彼の著作『芸術企業論』に興味深い一節がある。

「わがまま放題のお客さんの相手をしなければならない厳しい商売です。気難しいアーティストをうまくコーチングした上で、なおかつそれを商品にすることは、もう、精神がすりきれんばかりの汚れ仕事です。延々と続く地道な仕事を通していつのまにか歴史が変わる時が来るかもしれません。それがアートマネジメントの醍醐味なのです」

 要はアーティストである彼もマネジメントまでひらめきや思いつきでやっているわけではないのである。

製品への愛情・思い入れでは経営はできない

 クリエイター企業のマネジメントはコンテンツやサービスに対して格別の愛情や想い入れがなくても実は可能である、と私は考えている。が、この格別の愛情や想い入れとは別に、必要不可欠なものがトップマネジメントにはある。それはビジョンを示し企業自体に想いをそそぐことであり、ブランドコンセプトや事業の方向性を明確にし、これに見合った緻密なしくみつくりをすることである。

 クリエイター企業の場合、とりわけオーナーが創業した企業となるとトップ自らがそのコンテンツやサービスに惚れ込んでいる場合がほとんどである。そのため、起業時は会社全体にも目が行き届き、顧客ニーズや財務管理などもしっかり把握され、マネジメントが細やかに機能している場合が多い。

 オーケストラの指揮者がこれに似ている。各楽器に奏者のまとめ役となる主奏者がいるのだが、基本的に指示はそちらを通してではなく、指揮者自らが各団員に指示をだして1つのビジョンにまとめあげていっている。そのため合議制でも、ユニット単位でのマネジメントをしている訳でもない。しかし、これもオーケストラメンバー100名程度までのことである。

 つまり、ある程度事業規模が大きくなってきた場合、情報量も増え、事業をとりまく個別のトレンド、社外のステークホルダーの要求、社員個々の実情をこまめに把握するのは困難となってくる。すなわち、トップマネジメント自らがコンテンツやサービスに没頭すること自体が不可能となってくるのだ。

 企業規模が相応になってくると各部門では細やかで丁寧なオペレーションとそのオペレーションに耐えうるマネジメント手法が必須となる。その際にトップマネジメントが大雑把な管理のまま、状況を放置している場合は、クリエイターたちの想いに事業コンセプトが飲み込まれて暴走を許してしまう。

 そこで、企業規模が大きくなりトップマネジメント自らがその激務により細かなマネジメントをできなくなった場合、必要とされるのがブランドの方向性含めたビジョンの提示とクリエイター企業なりのマネジメントシステムの構築である。

 クリエイター企業のマネジメントシステムや組織化については次回以降触れるとして、ここでは緻密なマネジメント手法について触れておきたい。

重厚長大型メーカー出身者でも経営できる

 かつて自分は、日本の重厚長大型メーカー出身の社長と2人でクリエイター企業を再生したことがある。私自信もビジネスの基本スキルは石油化学企業で身につけたため、全くの異業種出身の二人がクリエイター企業のマネジメントの責任主体になったわけである。一見不慣れな2人が経営をするかのように周囲には見えたようだが、さにあらず、双方とも手堅く精緻なマネジメントをする日本のメーカーならではの業務経験が功を奏したようだった。今振り返るとクリエイター企業にしては「選択と集中」に配慮し、結果として経常利益率は10%半ばまで回復し、うまく立て直しができたのだと思っている。

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