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「原発ゼロ」政府方針の矛盾

原子力平和利用における世界のリーダーであることこそ重要

2012年9月28日(金)

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 政府は9月14日のエネルギー・環境会議で、「2030年代に原発稼働ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」ことを盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。「原発ゼロ」という数字は明記されたものの、国民的議論にかけられた3シナリオ(本コラムの7月20日付「日本の未来を決める「3シナリオ」の修正部分とは」および8月3日付「電力業界解体に切り込む電気事業法改正へ」を参照)すべてを折衷したような、いくつもの矛盾をはらんだ“玉虫色”の内容になっている。

 結局9月19日の閣議では、「革新的エネルギー・環境戦略」を参考文書の扱いにとどめ、閣議決定することは実質的に見送った。経済界や原発立地自治体などから猛烈な反発を受け、日米原子力協定を結ぶ米国や、使用済み核燃料の再処理の委託先である英国、フランスなどから強い懸念や要請があったためとされている。選挙にも決して有利には働かないと、野田佳彦首相は感じ取ったのかもしれない。

「原発ゼロ」に菅前首相の影響力

 「原発ゼロ」の政府方針は、多くの専門家やメディアなどからも指摘されているように、選挙対策の色が強く表れたものと、わたしは思っている。近いうちに行われるであろう衆議院の解散・総選挙を見据え、「ゼロ」という数字を何らかのかたちで示したかったのだと推察される。

 政府の「革新的エネルギー・環境戦略」には、民主党のエネルギー・環境調査会が9月6日に取りまとめた提言「「原発ゼロ社会」を目指して」が、大きく影響していることは間違いない。この提言には同党の原発ゼロ推進派議員による強烈な主張が反映されており、そして菅直人前首相の大きな力が働いていたようである。

 同党の代表選が告示された9月10日の夜、BSフジの「プライムニュース」に、立候補した野田首相、赤松広隆元農水相、原口一博元総務相、鹿野道彦前農水相を、それぞれ支持する同党の近藤洋介、山花郁夫、辻恵、中山義活の4議員が出演。「民主代表選のゆくえは 各候補の支持者にきく」と題し、政策について議論した。番組の後半、エネルギー政策の議論には、わたしも専門家として参加した。

 この議論でも各候補の支持者らは、当然ながら同党の提言にあり、後に「革新的エネルギー・環境戦略」にも盛り込まれた「2030年代に原発稼働ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」ことを大前提に主張を展開した。原発ゼロの実現時期については候補ごとに多少の差異があり、原口候補にいたっては、さらに前倒して原発ゼロを実現すべきとの主張だった。その一方で、各支持者とも原発の代替案に関しては不明確であり、やはり選挙対策の色が強いと思わざるを得なかった。

コメント10件コメント/レビュー

本気で原発ゼロを目指すなら、地熱発電にもっと研究費を出してはしい!天気まかせの風力と太陽光は、出力が不安定!リスクが大きく使い勝手も悪いため、電気事業者にとってはお荷物でしかない。スマートグリッドは、電力供給に係る重要なインフラをサイバー攻撃の的にするだけ。安定供給可能な再生エネルギーとしては地熱発電が最優秀だ。しかし、政府が例の事業仕訳で研究費を削りまくったせいで、現場は青息吐息だ。もっと予算出せ!(2012/10/02)

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「「原発ゼロ」政府方針の矛盾」の著者

柏木 孝夫

柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)

東京工業大学特命教授

経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会の分科会長、同調査会基本政策分科会の委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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本気で原発ゼロを目指すなら、地熱発電にもっと研究費を出してはしい!天気まかせの風力と太陽光は、出力が不安定!リスクが大きく使い勝手も悪いため、電気事業者にとってはお荷物でしかない。スマートグリッドは、電力供給に係る重要なインフラをサイバー攻撃の的にするだけ。安定供給可能な再生エネルギーとしては地熱発電が最優秀だ。しかし、政府が例の事業仕訳で研究費を削りまくったせいで、現場は青息吐息だ。もっと予算出せ!(2012/10/02)

管理できるリスクであれば、推進しても良いかもしれない。原子力発電は、確率が低いとしても一旦発生すれば手に負えない災害を引き起こしたことを筆者は忘れているのだろうか。台風や地震などの災害と違い、誰も明確に説明できない健康被害や、最悪の場合現在だけではなく将来多くの生命を奪う可能性の高いものを経済的なメリットと絡めて議論すべきではないと考えます。(2012/09/29)

原子力の平和利用が、原発だとして、廃棄燃焼の処分が全く見通しが立っていないし、震度9以上が来た時、原発が安全なのか想定を超えることが起こりうることであろう。その時の安全は保障できるのだろうか。ロボット技術がどこまで発達しても人間の安全は保障できないだろう、なぜか?半径100?に人が住まなければ、ロボット技術でカバーしたとしても・・地震が起きたり?!人の命は保障できるのだろうか?原発安全策が、ロボット技術で解決できるとは決して思えないヨーロッパでいの一番に原発廃止に向かってるのはドイツ。そこで日本がアジアの安全、地球の安全を考えると、原発廃止を速やかにするべきだろう。(2012/09/29)

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