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アップル、地図アプリの不具合は「神話」を壊すか

2012年10月2日(火)

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 「何だ。まるで日本のメーカーみたいで面白くないな」――。9月13日、米アップルが日本国内で開いた新型スマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone 5」の発表会に出席した筆者の第1印象は、どちらかというと失望に近いものだった。

 これには、発表会で公表されたiPhone 5の仕様がことごとく事前の予想通りだったということも影響している。「これまでで最も薄く、軽く、速いiPhoneです」という、“日本型”の売り文句をアップルが臆面もなく使ったことに対し、同じように物足りなさを感じた取材関係者は多かったはずだ。

 「あっと驚く革新的な製品を出してこそアップル。やはり、スティーブ・ジョブズがいなくなり、この先厳しいか…」といった意見はよく耳にする。

革新的ではないが高評価のiPhone 5

 それでも、2001年に携帯音楽プレーヤー「iPod」を発売して以来、スマホのiPhone、タブレットのiPadとヒットを連発する世界最強の「家電」メーカーの“魔力”は並みではない。発表会の終了後、別室に設けられた展示会場でiPhone 5の実機に触れた記者の感想は、たちまち肯定的なものに変わった。

 iPhone 5は、前作のiPhone 4Sより重さを2割減らし、CPU(中央演算処理装置)には2倍高速の「A6」を搭載する。だが、実際に手に取ってみると、数字以上に軽く、動作もスムーズに感じられる。

 「iPhoneの商品性やブランド力は競合のスマホと比べてまだ圧倒的な差がある。であれば、多大な開発費をかけて自社品を駆逐してしまう可能性のある画期的製品を出すより、当面はマイナーチェンジにとどめて稼いだ方が得策という戦略なのかも知れない。革新的製品は、手持ちの商品群の勢いに陰りが見えた頃に満を持して投入するのでも遅くない」

 前機種のiPhone 4Sと比べても確かに「快適さ」という面でグレードアップした新端末に納得した筆者の頭には、こんな考えがよぎった。

 こんな憶測が浮かんだ背景には、「アップルは常に驚くべき新製品の構想を温めており、iPhoneやiPadに続く大型商品をいずれ必ず発表してくれるに違いない」という潜在的な期待感があったように思う。

 ともかく、iPhone 5の販売は好調な滑り出しを見せている。21日に世界9か国で発売して以降、3日間での販売台数は500万台に達した。過去最高の売り上げを記録したiPhone 4Sを上回るペースだ。

 しかし、「栄枯盛衰」。冷静に考えれば、いかにアップルが世界中に強力な情報網を張り巡らし、有能なデザイナーやエンジニアを抱えているとしても、新製品を生み出す神がかり的な能力が今後も永続するのは不可能だろう。アップル製品のユーザーもメディアも、同社の力を根拠なく特別視してしまうことが多いが、こうした傾向には注意が必要かも知れない。

見過ごされた「精度不足」

 「アップル神話」に警鐘を鳴らす具体例の1つが、同社がiPhone 5の発表と同時に公開した新しい地図アプリの「Maps」だ。

 この地図アプリ、9月19日の公開直後から、誤表示が非常に多いと世界中で話題になった。全体的な情報が大ざっぱなだけでなく、海の真ん中に本来あるはずのない都市や鉄道の駅を表示することも指摘された。日本国内でも、羽田空港を「大王製紙」と表記したり、実際には離れている2つの駅を重ねて表示したりするなどの問題が生じている。

 誤表示の内容があまりにも荒唐無稽なため、Mapsはある意味で利用者に「あっと驚く体験」を提供してくれている。だが、スマホ利用における地図情報というコンテンツの重要性を考えると、笑って許せる利用者は少ないだろう。

 アップルが米グーグルの「Google Maps」の採用をやめ、純正の地図アプリを搭載することを最初に明らかにしたのは、今年6月に米国で開いた開発者向け会議の場だ。実はこの時、同社のデモを現地で見た関係者の一部から、ネット上などで「精度が不足気味だ」という指摘が上がっていた。

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「アップル、地図アプリの不具合は「神話」を壊すか」の著者

田中 深一郎

田中 深一郎(たなか・しんいちろう)

日経ビジネス記者

日経新聞科学技術部、証券部を経て、2012年4月より日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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