• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

時の総理のビジョンを「使い捨て」にしない戦略の作り方

「日本再生戦略」から成長政策を考える(その5)

2012年10月3日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 これまで4回にわたって成長戦略について論じてきた。それは「成長戦略はいかにあるべきか」という「戦略の内容」についての議論であった。最後に、「成長戦略をどう策定すべきか」という「戦略の作り方」について述べてみたい。

 「作り方」の話は多くの読者にとってあまり面白くないかもしれない。しかし私は大変重要だと思う。「作り方」によって「内容」や「その後の実行」が変わってくるからだ。

「日本再生戦略」ができるまで

 政府は7月31日に「日本再生戦略」を閣議決定した。ここに至るプロセスを再確認しておこう。これは「有識者による検討」→「国家戦略会議での決定」→「閣議決定」というプロセスだと考えれば分かりやすい。

 成長戦略を作るのは「国家戦略会議」である。この会議は民主党政権発足後にできたもので「新時代の中長期的な国家ビジョンの構想を行う」のが任務とされている。構成メンバーは、総理大臣、関係閣僚、関係機関の長、有識者である。現在は、関係機関の長として日銀総裁が、有識者としては岩田一政日本経済研究センター理事長など5名が指名されている。

 成長戦略の策定に当たっては、各界の有識者の英知を結集する必要があるが、そのためにこの国家戦略会議を頻繁に開くわけにはいかない。そこで、有識者の検討の場である「フロンティア分科会」というものが作られた。この分科会にはさらに4つの部会が設けられ、多くの専門家が集まって議論が繰り返された。これが前述の「有識者による検討」である。

 さて、検討を繰り返してきたフロンティア分科会は、7月6日に報告書を公表した(各部会の報告書も同時に公表された)。これがいわば今回の「再生戦略」の素材となっている。事実、最終的な再生戦略の副題は「フロンティアを拓き、『共創の国』へ」となっているのだが、この「共創の国」というスローガンはフロンティア分科会で示されたものをそのまま採用したものだ。

 なお、やや脇道に逸れるが、政府が大きなプランを出す時には、当然ながら誰もがPRが重要だと考える。すると誰もが「何か良いスローガンはないか」と考える。しかし、うまいスローガンが生まれるのは極めて稀である。私も役人時代に、試みたことがあるが、しょせん役人にそんなセンスはないのだ(むしろそういうセンスのない人が役人になっていると考えた方が良い)。

 強いてあげれば「クール・ビズ」がヒット作だが、これは稀有の例である。努力した関係者には申し訳ないが、今回の「共創の国」という言葉もあまり頂けない。聞いただけでは内容が分からないからだ。商品開発の場合は、ネーミングで売れ行きが違ったりするから、それが重要であることは分かる。しかしそもそも、政府のプランは、実行すべき政策を決定し、それを実行することが重要なのだから、あまりスローガン作りにエネルギーを注ぐ必要はないというのが、経験に基づく私の意見だ。

コメント5件コメント/レビュー

小峰氏の言われるとおり、「国の経済計画」策定の必要性は、非常に高いと思います。特に、過去3年の民主政権で思い知らされました。大衆の時流に乗っただけで、経済認識が全く無い民主議員が多数となり、現今の経済混乱につながっていることは間違いありません。象徴的だったのが、菅氏が首相当時、サミュエルソンの「経済学」を読み始めたとの報道でした。世界2位の経済大国のトップが、経済を初めて学ぶ生徒と同レベルとは?(多分、世界で笑いものになったでしょう)日本は戦後の安本(アンポン)以来、その時々の経済状況に応じた中期的経済政策を策定すべく「経済ブレーン集団」が「政府内に」「確固とした組織として」存在していました。高度成長は、国民の努力をベースに政府・政治家が真剣に方向性を示したことが実を結んだものでしょう。ポピュリズムに陥った今の選挙ではシロウト議員が多数となる危険は消えません。時々の時流に流されない政府組織による経済政策策定が必要だと思います。(2012/10/03)

「小峰隆夫の日本経済に明日はあるのか」のバックナンバー

一覧

「時の総理のビジョンを「使い捨て」にしない戦略の作り方」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

小峰氏の言われるとおり、「国の経済計画」策定の必要性は、非常に高いと思います。特に、過去3年の民主政権で思い知らされました。大衆の時流に乗っただけで、経済認識が全く無い民主議員が多数となり、現今の経済混乱につながっていることは間違いありません。象徴的だったのが、菅氏が首相当時、サミュエルソンの「経済学」を読み始めたとの報道でした。世界2位の経済大国のトップが、経済を初めて学ぶ生徒と同レベルとは?(多分、世界で笑いものになったでしょう)日本は戦後の安本(アンポン)以来、その時々の経済状況に応じた中期的経済政策を策定すべく「経済ブレーン集団」が「政府内に」「確固とした組織として」存在していました。高度成長は、国民の努力をベースに政府・政治家が真剣に方向性を示したことが実を結んだものでしょう。ポピュリズムに陥った今の選挙ではシロウト議員が多数となる危険は消えません。時々の時流に流されない政府組織による経済政策策定が必要だと思います。(2012/10/03)

「所得倍増」と比べると「国民生活の質的充実」や「生活大国への変革」は具体的なイメージが無い。超円高が続く環境の中で日本の経済を成長させる為には何をする事が良いのか、その議論無しに成長戦略は立てられないだろう。日本が長年得意として来た製造業は中国等の賃金の安い国の製品とのコスト競争に敗れて、次々と国内生産を海外拠点に移している。1ドル80円を割った状態が続く中、海外移転は更に進むと考えざるを得ない。為替も市場任せにせずに中国等の様に国が調整するという選択肢もあるのだろうが、既に先進国の一員になって久しい日本としては今更後戻りは出来ない。となれば、1ドル70円でも世界相手に勝負出来る事業を育てるしか無い。再生可能エネルギーで注目されている太陽光は供給過剰で既に欧米の企業が続々倒産している。誰もが生産出来る物やサービスでは直ぐに同等品が格安の値段で出て来てしまう。技術を真似するだけでも10年以上を要してしまうものが必要だ。重電機関連はその意味で容易く真似する事の難しい産業である。そういった見方をすると、地熱発電を含む地熱利用は国内資源も大きく、現時点でも世界トップクラスの技術を有しているのだから更に磨きをかけるチャンスだ。その為にも国内地熱開発を国としても最大限援助すべきだろう。海流発電に関しては海上の送電技術も含めて、矢張り世界トップクラスの技術を作り込む機会は目の前にある。先進国の真似も出来ない農作物を利用したバイオアルコールはやるだけ無駄と考えた方が良い。藻を利用した方法には多少の可能性は残されてはいるが。IT技術は中国や韓国が近年政府の強力な後押しもあって急成長し、日本のIT業界の力を凌いでいる。このエリアは国の安全保障上も極めて重要で、国全体の情報を守る意味からも、たとえ商業上のメリットが無いとしても世界最高レベルの技術は確保せざるを得ない。中国やインド、韓国のコストには勝てないので、国の責任に於いて国の情報の安全を守るに必要充分な投資を続ける義務がある。こうして見てみると円高でも十分勝負出来るエリアは決して多くないが、無い訳でもない。それと、折角高レベルの技術を蓄積しても、ノウハウを持った技術者を引き抜かれたらあっという間に技術格差を埋められてしまう事は実績で明らかになっている。国と産業界一体でその様な技術流出を防ぐ方策も策定する必要を強く感じる。(2012/10/03)

最大の課題は「期待形成」ですね。昨今の財政・金融政策とも期待形成にうまくつながらない。計画がラッパに終わるか否かはそれにかかっています。(2012/10/03)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

変化を受け入れやすい組織体質があればビジネス上の“地殻変動”が起きた際にも、他社に半歩先んじられる。

井上 礼之 ダイキン工業会長