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時の総理のビジョンを「使い捨て」にしない戦略の作り方

「日本再生戦略」から成長政策を考える(その5)

2012年10月3日(水)

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 これまで4回にわたって成長戦略について論じてきた。それは「成長戦略はいかにあるべきか」という「戦略の内容」についての議論であった。最後に、「成長戦略をどう策定すべきか」という「戦略の作り方」について述べてみたい。

 「作り方」の話は多くの読者にとってあまり面白くないかもしれない。しかし私は大変重要だと思う。「作り方」によって「内容」や「その後の実行」が変わってくるからだ。

「日本再生戦略」ができるまで

 政府は7月31日に「日本再生戦略」を閣議決定した。ここに至るプロセスを再確認しておこう。これは「有識者による検討」→「国家戦略会議での決定」→「閣議決定」というプロセスだと考えれば分かりやすい。

 成長戦略を作るのは「国家戦略会議」である。この会議は民主党政権発足後にできたもので「新時代の中長期的な国家ビジョンの構想を行う」のが任務とされている。構成メンバーは、総理大臣、関係閣僚、関係機関の長、有識者である。現在は、関係機関の長として日銀総裁が、有識者としては岩田一政日本経済研究センター理事長など5名が指名されている。

 成長戦略の策定に当たっては、各界の有識者の英知を結集する必要があるが、そのためにこの国家戦略会議を頻繁に開くわけにはいかない。そこで、有識者の検討の場である「フロンティア分科会」というものが作られた。この分科会にはさらに4つの部会が設けられ、多くの専門家が集まって議論が繰り返された。これが前述の「有識者による検討」である。

 さて、検討を繰り返してきたフロンティア分科会は、7月6日に報告書を公表した(各部会の報告書も同時に公表された)。これがいわば今回の「再生戦略」の素材となっている。事実、最終的な再生戦略の副題は「フロンティアを拓き、『共創の国』へ」となっているのだが、この「共創の国」というスローガンはフロンティア分科会で示されたものをそのまま採用したものだ。

 なお、やや脇道に逸れるが、政府が大きなプランを出す時には、当然ながら誰もがPRが重要だと考える。すると誰もが「何か良いスローガンはないか」と考える。しかし、うまいスローガンが生まれるのは極めて稀である。私も役人時代に、試みたことがあるが、しょせん役人にそんなセンスはないのだ(むしろそういうセンスのない人が役人になっていると考えた方が良い)。

 強いてあげれば「クール・ビズ」がヒット作だが、これは稀有の例である。努力した関係者には申し訳ないが、今回の「共創の国」という言葉もあまり頂けない。聞いただけでは内容が分からないからだ。商品開発の場合は、ネーミングで売れ行きが違ったりするから、それが重要であることは分かる。しかしそもそも、政府のプランは、実行すべき政策を決定し、それを実行することが重要なのだから、あまりスローガン作りにエネルギーを注ぐ必要はないというのが、経験に基づく私の意見だ。

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「時の総理のビジョンを「使い捨て」にしない戦略の作り方」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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