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第12話 すご腕セールスマン四人侍 3人目

相手の困っていることは全部引き受ける「親切売り小林さん」

  • 弓飾 丸資

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2012年10月12日(金)

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 続いて3人目の「セールスマン侍」小林さんを紹介しよう。

 誠に変わった経歴の持ち主ばかりで、紹介する私も少し躊躇しない訳でも無いのだが、ことセールスマンという視点で見れば、非常に有能な彼らを取り上げずにはおれない。

 小林さんは当時43才、身長は182cm、体重は85キロの堂々たる体躯のオカマさんである。服装は工務店関係の方のユニホームによく使われる、ポケットの沢山付いているジャンパー形式の、上下同じグレーかカーキー色の作業服を着る。何時もそれがアイロン掛けされており、それなりにピシッと決まった身なりになる。だから立派な体格もあって決してオカマには見えない。

 小林さん、山陰のカニ漁で知られる漁村の出身だが、ケンカで他人を殺めてしまい、長いお勤めの後、出所して2年目に私のアポマンになった。この人、趣味は読書とパチンコ。読書は半端では無く、今時ウヨウヨいるインチキ大学教授なんか足元にも及ばないくらい、少なくとも読んだ本の数は遥かに多いはずだ。私も彼が本を読み耽っているところを何度か見たが、豊富な読書量をこなした人特有の、1ページを2秒くらいでの斜め読みの速読の技ができるのだ。

※編集部注:クローザーやアポマンの意味が分からない読者の皆様へ。それぞれ訪問営業マンたちの仕事の名称です。この機会に『天使たちの訪問販売』を最初からお読みください。

 実際アポマンとしての毎日の訪問でも、作業服のズボンの両太ももの外側にある独特な大きなポケットに、いつも文庫本が2冊ずつ入っていた。小林さんは私の指示で決められたテリトリーの訪問を始めても、気が向かないとなれば直ぐに近くの神社や公園、またはスーパーマーケットなどを探し当ててそのベンチで読書に耽るか、金が有れば現場を放棄してパチンコ店へ行ってしまう。しかも、パチンコに行こうとする時は、テリトリーからどんなに離れた所でも自分の気に入ったパチンコ店にしか行かない。電車やバスを乗り継いでも、行きたい店まで行ってしまうのだ。

 特に懐に金があるとなれば、私がテリトリーに着いた時、こんこんと真面目に仕事するように申し聞かせても『糠に釘状態』で無駄。パチンコ店へ直行してしまうのである。ならば、と私は小林さんに金が有ると見ると、車に乗せて彼が行きたいパチンコ店まで送る事にしていた。完全にこちらの根負け状態、白旗である。彼はその都度、歳に似合わぬ無邪気で可愛い笑みを満面に浮かべて、「班長恐縮です、恐縮です!」を繰り返すのだ。今思い出しても憎めない無邪気な笑顔であった。

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