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最重要課題は「成長」の回復だ

  • J.ブラッドフォード・デロング

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2012年10月11日(木)

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欧州中央銀行が南欧の国債を無制限に買い入れる方針を示し、当面の危機を回避した欧州。だが、真の危機回避には南欧諸国が競争力を回復し、成長を実現することが必要だ。それには賃下げなど痛みを伴う政策が不可避。政治家は今こそ有権者に説明すべき時だ。

 ユーロ危機は3つの段階に分けられる。最初の2段階は、公的部門と民間部門が過剰な債務を抱えたことに端を発した銀行危機と、それに続くユーロ圏加盟国の政府に対する信認の急速な失墜だった。これら2段階への対応は、少なくとも部分的には成功した。

課題は「失われた数十年」の回避

 だが、まだ第3段階が残っている。それはユーロ圏における南北の構造的な不均衡の問題であり、これがユーロ危機における最も長期、かつ最も危険な要因だ。

 好材料はある。まず、パニックに陥った投資家が安全資産への資金逃避を行うことにより、欧州が大不況に陥って欧州の銀行が崩壊するという不安はひとまず過ぎ去ったと思えることだ。同様に、欧州連合(EU)の政治的機能不全がユーロ圏加盟国の一部をデフォルト(債務不履行)に追い込み、欧州を深刻な混乱に陥れるとの懸念も今は後退しつつある。

 欧州が深刻な不況を回避できるかどうかは、この2段階に的確に対処できるか否かにかかっていた。だが、欧州経済全体が「失われた10年もしくは20年(あるいはそれ以上)」を回避できるかは依然として定かではない。欧州がこの困難なシナリオを避けられるか否かは、南欧諸国の政府が早急に競争力を回復させられるかにかかっている。

 そもそも南欧諸国の競争力はなぜ低下したのか。始まりは「起業家にとっては資金を借りた方が得だ」とのシグナルを市場が発したことだった。そのシグナルに合理的に対応した結果が、マクロ経済全体として見れば不合理な結果を招いたということだ。

南欧は30%の賃下げが不可避

 具体的にはこういうことだ。膨大な資金を抱え投資先を探していた北部欧州の国々は、様々な消費をしたがっていた南欧諸国に対し極めて緩い条件で積極的に融資をした。そして2007年までの消費ブームの中で、南欧諸国の企業は賃金も急上昇させていった。

 その結果、南欧諸国は12ユーロ稼ぐには13ユーロを投じる必要があるという賃金及び物価、生産性の水準の経済になってしまったのだ。ちなみに足りない1ユーロは常に北部欧州からの借金によって埋められた。そして、北部欧州は1ユーロ稼ぐごとに一定の利益を得られるという賃金と生産性の水準の経済を構築、その余剰資金を南欧への融資に回したのである。

 だがもし欧州が、南欧に収入以上の支出をしてほしくない一方で、北部欧州には支出を抑えてほしくないのだとすれば(どうも、それが欧州の意向と思われる)、賃金及び物価、生産性の水準を変える必要がある。

 我々が1世代後に過去を振り返って「失われた数十年だった」と嘆きたくなければ、南欧諸国は北部欧州と比べ相対的に生産性を引き上げると同時に、賃金と物価水準を30%ほど引き下げる必要がある。それ以外に、南欧諸国が北部欧州への輸出を拡大し、北部欧州にそうした輸出品を購入してもらう方法はない。

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