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「原発ゼロ」から現実路線へ

電力改革に不可欠な国際的視点

2012年10月12日(金)

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 政府の「原発ゼロ」方針は、すぐに現実路線へと大幅に軌道修正された。

 9月15日には枝野幸男経産相が、青森県の大間原発など、経済産業省が設置許可済みで建設中の原発に関しては、建設継続を容認するとコメント。政府のエネルギー・環境会議が「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した翌日のことである。

 さらに10月1日、野田第3次改造内閣が正式に発足する直前の会見で、留任が内定していた枝野経産相は、「政府は、2030年代に原発ゼロにする、と決めたのではない」と明言している。「2030年代ゼロを可能とするよう、あらゆる政策手段を投入」するが、その実現は「相当厳しい」とし、「2030年代の電力供給体制をどういう形にするのか、相当精査、議論した上でないと見通せない」との見解を示した。

米国の懸念で方針転換

 前回の本コラムでも少し触れたが、政府の方針転換には、米国からの強い圧力が影響した。

 9月25日付の日本経済新聞などにも報道されているように、9月8日には、ロシアのウラジオストクのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、野田佳彦首相はクリントン米国務長官と会談。オバマ大統領の意向として、クリントン国務長官は強い懸念を示し、大きな圧力を加えたという。

 我が国の原子力政策は、1988年に発効した日米原子力協定に基づく米国との協力関係なしには成り立たない。その現行の協定の期限は、2018年まで。協定改定に向けた事前協議なども、そろそろ念頭に置かなければならない。

 米国にとっても、原子力の平和利用、世界的な民間市場の育成には、もはや日本の技術力が不可欠になっている。原子炉メーカーの米ウェスチングハウスは、いまや東芝のグループ会社である。米GEと日立製作所は原子力事業における世界的な戦略提携を結び、日米それぞれに合弁会社を設立している。日本に原発から撤退されては、困るのである。

 政府の「原発ゼロ」方針の大幅な軌道修正に、これらを背景とする米国の意向が強く反映されたことは間違いない。

 その一方で、「原発ゼロ」方針が国際的に独り歩きしてしまうことによる弊害が、非常に危惧される。わたしは、9月18日の総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会に、意見書「 2030年代原子力稼働をゼロとする政府方針に対する意見」を提出した。その中でも、国際的に「原発ゼロ」が独り歩きすることが極めて心配であり、政府方針が意図する正確な内容を国際社会に向けて明確に発信することが不可欠であると強調した。

 危惧した事態は、現実のものとなっている。

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「「原発ゼロ」から現実路線へ」の著者

柏木 孝夫

柏木 孝夫(かしわぎ・たかお)

東京工業大学特命教授

経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会の分科会長、同調査会基本政策分科会の委員を務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト