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維新の会と民主党は似ている

2012年10月12日(金)

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 少し退潮ムードが広がるとすかさずというところか、それとも本気で頭を叩こうということか。

 大阪府と大阪市の二重行政の見直しなどを進める大阪府市統合本部の下にあるエネルギー戦略会議が9月半ば、中止に追い込まれた。府市統合本部は、橋下徹・大阪市長の看板政策である行財政改革の議論と発信の場であり、エネルギー戦略会議は原子力発電所の再稼働の是非から、原発のあり方までエネルギー政策に積極的な提言を続けてきた。

 そのエネルギー戦略会議に突然、「中止通知」が来たのは9月17日の会議直前のこと。しかも、「通知」の元は、橋下市長が昨年秋まで知事も務めた統合本部の相手方、大阪府だったのである。

 「エネルギー戦略会議は(地方自治法でいう)自治体の付属機関に当たる可能性があり、開催には条例を制定する必要がある」

 戦略会議の関係者によれば、こんな内容だったという大阪府の通知は予想もしないものだった。

エネルギー戦略会議中止の裏側は

 だが、付属機関とは「例えば自治体の施設建設に伴う入札委員会のような、自治体の業務執行の一部を担うものであり、研究組織・意見提言組織にすぎないエネルギー戦略会議はそれに当たらない」(元経産官僚で府市統合本部特別顧問の古賀茂明氏)という反論が正とすれば、府側の決定には疑問も残る。

 何より、府側は戦略会議が条例を必要とする自治体付属機関ではないかという議論を今年5月頃から始めていながら、エネルギー戦略会議メンバーには全く相談もしていないとは不思議というほかない。

 結局、非公式の会議はその後開いたものの、公式には条例制定が行われるまで開催できないまま。まるで、維新の会人気の微妙な変化にすかさずつけいったのかとさえ、思えるほどだ。

 一体、裏に何があったのか――。それを勘ぐる声は既に喧しいほど。自社の出身者が大阪府副知事の1人となっている関西電力と経済産業省の圧力説は言うに及ばず、国政進出のために維新の会内部に、エネルギー問題で財界との摩擦を避けようとする思惑があっての動きといった見方まで、紛々たるものでもある。

 だが、そんな謀略説を現実と突き合わせ裏を探ってみても当面意味はない。ただはっきりしているのは、やや陰りが見えたとはいえ、なお人気高い橋下市長と維新の会には、これからもこの種の「問題」が避けられないだろうということだ。

 その目で見れば、橋下市長と維新の会には、今後さらにつけこまれかねないポイントがいくつも浮かぶ。例えば次期総選挙の公約、維新八策。「衆議院の議員定数半減」「首相公選制」「環太平洋経済連携協定(TPP)への参加」「年金制度を賦課方式から積み立て方式に移行」など、大胆な項目は多いが、具体論となると乏しいといわざるを得ない。

 八策は、その冒頭で「『自立する個人』『自立する地域』『自立する国家』を実現する」として、
(1)統治機構の作り直し
(2)財政・行政・政治改革
(3)公務員制度改革
(4)教育改革
(5)社会保障制度改革
(6)経済政策・雇用政策・税制
(7)外交・防衛
(8)憲法改正
(内容は表参照)
をうたうものの、具体論は下の表くらいまで。維新の会のある関係者は「(日本維新の会代表である)橋下市長は、八策について、政策実例集のようなものを示すと考えている。後で変更可能な政策例という位置づけだ」とも言う。まさかとは思うが、その場の状況次第で凌いでいうわけではあるまい。もう少し緻密さがあってもいい。

自立型の国、地方、個人の関係を目指す
維新八策の概要
大項目 理念など 具体策
1.統治機構の作り直し ・国の役割絞り込み。外交、安全保障、マクロ経済政策など国家機能強化
・内政は地方・都市の自律的経営に任せる
首相公選制、参議委員廃止を視野に入れた衆議院優位、道州制、地方交付税制度廃止、消費税の地方税化、地方間財政調整制度など
2.財政・行政・政治改革 ・持続可能な小さな政府 大阪府・市方式の徹底した行財政改革、外郭団体、特別会計の徹底見直し、ムダな公共工事の復活阻止、歳入庁創設、衆議院を240人に、財政の基礎的収支(プライマリーバランス)黒字化の目標設定など
3.公務員制度改革 ・人材流動化制度の強化 地方公務員を含めた公務員の総人件費削減、内閣による人事権の一元化など
4.教育改革 ・悪しき平等、画一主義から脱却
・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ
教育委員会制度の廃止、学校選択の保障、文部科学省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政へなど
5.社会保障制度改革 ・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障
・受益と負担の明確化
年金を賦課方式から積立方式へ、現物支給中心の生活保護に、医療保険一元化など
6.経済政策・雇用政策・税制 ・競争力を重視する自由経済など TPP参加、脱原発依存体制構築、正規・非正規雇用の格差是正、成長のための税制、消費・投資を促す税制、超簡素な税制など
7.外交、防衛 ・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策整備
・日米同盟基軸
豪、韓国との関係強化、中国・ロシアとの戦略的互恵関係の強化、外交安全保障の長期戦略のための外交安全保障会議創設
8.憲法改正 ・決定できる統治機構の本格的再構築 憲法改正発議要件を緩和、憲法9条を変えるか否かの国民投票
注:主要項目を示した
出所:大阪維新の会の資料を基に本誌作成

 全体として「自助・自立と小さい政府」を志向していると思える内容は、みんなの党のアジェンダ(マニフェスト=政権公約に相当)と非常に近い。みんなの党のそれは、内容自体は維新八策より遙かに具体的で分かりやすいが、財源として特別会計や独立行政法人改革、つまり埋蔵金や予算の無駄遣い解消などで3年間に30兆円を捻出するとして実現性を疑われた。そのあたりでも、維新の会は行政改革は謳うものの、増税はなく、財政再建の道筋は定かに見えてこない。

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「維新の会と民主党は似ている」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長